データ活用とはー概論ー

VMDを効果測定するには?重要な4つのKPIを解説

あなたの店舗はVMDを検証できていますか?もし肌感覚で良し悪しを判断しているのだとしたら、4つの重要なKPIを意識してください。「データ化して数値で検証する」ことで、効果的なVMDが実現できます。



昨今のコロナウイルス感染者の増減で客足に明らかな影響が出ている小売業。2022年6月頃はコロナ以前の時期並に客足が戻ってきたというお声を多く聞きましたが、7月に入ると、第7波の感染ピーク到来と共に客足も減少し、店舗の売上はマイナスに大きく響いていました。

このように、全く見通しの立たない状況下では、売上そのものはもちろん、売上を導き出す大元の来店客を確保することすら難しくなります。

恐らく、今後もコロナ感染者数の増減と客足の増減は密接に関係するでしょう。では、そのような状況で集客を図るにはどの様な施策を考えていけば良いでしょうか?

今回のブログでは、来客数を増やすために効果を発揮する「VMD」についてご紹介します。

1. VMDとは

2. VMDの構成要素とメリット

3. 実店舗VMDの効果測定


魅力的なディスプレイ

VMDとは

VMDVisual Merchandising/ビジュアル マーチャンダイジング)は、店舗内にブランドのMD(商品計画)と連動したマーケティングをビジュアルを用いて実施することを意味します。

単に「店舗や空間の装飾・デコレーション」のことではありません。売場づくり・ディスプレイ作りを通した店舗でのマーケティング活動であって、ブランドのメッセージを伝える重要な役割を担います。

要は、MDに連動した視認性に優れたお客様とのタッチ・ポイントを設定し、来店や立ち止まりを促し、購買までの流れを生み出すことを主眼としています。

 

VMDの構成要素とメリット

VMDの構成要素としては、「商品棚」「コンセプトを伝える」「具体的なビジュアル」の3点が必要です。

① 商品棚(IP アイテム プレゼンテーション)
訴求したい商品を陳列する棚や台、什器などを指します。商品自体の魅力を引き出すように、MDに基づいた色や形状を用いて制作・装飾されます。

② コンセプトを伝える(VP ビジュアル プレゼンテーション)
MDに指定されている商品のコンセプトを伝えるキャッチコピーやキービジュアル、背景などを表現します。主に店舗のファサード(エントランス付近)や店外ディスプレイ(ショーウィンドウ)に展示します。

③ 具体的なビジュアル(PP ポイント オブ セールス プレゼンテーション)
商品のより具体的なイメージ・特長を訴求します。お客様が使っている姿を想像しやすいように、利用シーンや特長を分かりやすく伝え、店舗内のマネキンや展示台、棚上に展示します。

つまり、①MDに適した展示場所を用意した上で、②店外通行人に商品コンセプトをビジュアルで視認させ、興味関心を煽って店内に呼び込み、③具体的な利用シーンの提案と商品特長を伝えて購買意欲に訴え、購買を促すのです。

店舗スタッフにとって、店外を歩いているお客様へのアプローチには限度があります。コロナの感染対策上の観点からも、あまり積極的な接触はかえって印象を悪くしますし、逆効果です。
その点VMDは、ビジュアルを使ったお客様とのタッチポイントを生成します。立ち止まったお客様は少なからず興味・関心を持った可能性が高いのでスタッフは声を掛けやすく、接客による説明補足などによって購買機会の創出が期待できます。

このようにVMDは、特にこのコロナ禍において、非接客でも商品訴求やブランドの世界観発信につながり、スタッフの接客機会の創出を手助けしながら、店舗売上を生み出す機会を増やすことができます。ぜひこの機会に取り組んでいただきたい施策です。

マーケティングの効果を分析

実店舗VMDの効果測定

効果検証には数値化=データ化が必須

VMDを展開するにあたり、その効果検証は必須事項です。

VMDの効果で「なんとなくディスプレイを見ている人が普段より多かった気がする」「けっこうお客様が来店した」といった肌感覚・概算での報告はほとんど意味を持ちません。もちろん、スタッフの感覚知は非常に大事ですし、その場の雰囲気や接客での会話内容など、データ化が難しい情報ソースは存在します。しかし、人数や傾向値は少なくとも精緻にデータ化されなければ、本当の効果検証とは言えません。なぜなら、数値による対比情報が存在しないと、VMD施策展開前・後でどのくらいの差異があったのか、判別ができないからです。

ECサイトを思い出してください。
サイトの訪問者/ユーザーにとってどのページがサイトの入口だったのか、当該ページの滞在時間はどのくらいか、どのくらいのユーザーが掲載バナーをクリックして次の画面に遷移したか、サイト上で買物を行った際の参照元/リファラルがどこだったのかなど、様々な要素を数値で見ることができます。コンテンツやキャンペーンによってどれだけビュー数を獲得でき、購買率/コンバージョン率は何%だったか、重要なKPIはすべて数値化できているので、どこに課題があるのか顕在化されるわけです。

実店舗でも同様の取り組みはできないのでしょうか。ECサイトのような数値化、つまりデータ化を実店舗でも行うためには、どうすれば良いのでしょうか。

答えは簡単です。必要なKPIをしっかり計測・分析すれば良いのです。

 

実店舗VMDのKPIと計測手法

実店舗のVMD効果を見る場合、売上実績だけを注視すれば良いわけではありません。なぜなら、売上には様々な要因があるからです。売上の増加要因はどの要素によってもたらされたのか、課題はどこにあるのか、顕在化させるためには、ポイントとなる要素を把握する(計測する)必要があります。

代表的なKPIとしては、以下をおススメします。

・入店率
「店舗前の通行人のうち何人が入店したか」

店外向けディスプレイが効果的に人を惹きつけていたかを測るKPIのひとつ。ディスプレイ内容を変更することで入店率に変化があったか、数値化されることで検証が可能です。
エントランスが複数ある場合は、各々に近いディスプレイ内容が何であるかを把握した上で検証を行うと、ディスプレイの視認検証や店内誘導検証がより明確になります。

計測方法:
A ディスプレイ付近にカメラを設置し、対象範囲に映るお客様の人数をカウント
B 店舗エントランスにカメラを設置し、来店数をカウント

B÷A=入店率


・購買率
「来店客のうち何人が商品を購入したか」

店内ディスプレイやレイアウト、商品配置の購買への影響具合を測るKPIのひとつ。それら要素を改善することで売上に変化があったか、数値化されることで検証が可能です。
ディスプレイと購買内容、商品配置と購買内容などの相関性を分析すると、ディスプレイの訴求内容の直接的な効果検証になりますし、商品配置との関係性によっては「レジに近いところに陳列した●●が売れていない」「エントランス横に陳列したXXが売れている」など、商品のアピール場所の選定にも役立ちます。

計測方法:
B 店舗エントランスにカメラを設置し、来店数をカウント
C 売上データ(POSデータ)にて購買件数(レシート数)を集計

C÷B=購買率


・UPT
(Unit Per Transaction 平均商品買上点数)
「お客様が何をどのくらい購入されたか」

ディスプレイ展示や商品配置の購買への影響具合を測るKPIのひとつ。特に複数商品をセットで訴求する場合にその組み合わせが実購買につながっているか、数値化されることで検証が可能です。
一部小売業では「セット率」とも言われていますが、UPT
を高い数値でキープでき、かつVMDでの展示内容と合致する商品組み合わせの%が高ければ、VMD効果は高いと言えそうです。

計測方法:
C 売上データ(POSデータ)にて購買件数(レシート数)と購買内容(商品点数)を集計

商品点数÷購買件数=UPT


・エリア別の滞在人数・滞在時間
「どのくらいのお客様がディスプレイに立ち止まったか」

VMDを展開するディスプレイや商品棚、什器の直接的な効果を測るKPIのひとつ。ディスプレイ内容にお客様がどれだけ注目されたか、数値化されることで検証が可能です。
各所に立ち止まった人数や立ち止まりの滞在時間を計測することで、どこがより多くのお客様を惹きつけたのか、その展示内容はなにか、を把握すれば、どの場所にどんな商品を訴求すればより効果的かを知るきっかけができます。

この指標がVMDでは最も分かりやすいKPIであり、重要なKPIです。

たとえば、店内の特定エリアでの滞在人数が多いという傾向があったとします。そこで展示していた商品の売行きが良い場合、その商品の展示場所を他に移すことで、それまでのエリアの滞在人数に変化があるのか、移動しても商品の売上は売れ続けるか、それ以外の商品の売上やUPTに影響はあったのかなど、非常に多くの発見・気づきが生まれます。これを繰り返すことで最適な売場づくりやVMD展開場所が見えてくるわけです。

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前述の通り、VMDの効果測定はデータ化されることが理想です。

ご紹介した4つのKPIに代表されるように、各々のデータソースを精緻に掴み、データとして集計・分析することで、改善点が見えてきます。VMDをアート的/感性的なものとして「なんとなく」捉えることは、訴求内容を検討するうえで必要な視点ですが、結果としての数値は非常に重要です。

VMDをしっかり数値化=データ化することで、より効果的な販促手法を手に入れましょう。

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株式会社Flow Solutionsは、2016年にデータ活用プラットフォームの提供を開始し、アパレルや雑貨店、家電量販店など、これまで100社以上・800店舗以上へのシステム導入と3,000以上のセンサー接続実績があります。リテールデータ活用AIプラットフォームFlowは、IoTによる人流計測データや既存データとの連携によって店舗状況を可視化し、AI技術を用いた多次元なデータ分析を可能にします。店舗データの活用によって売上改善や業務効率化に効果を発揮するソリューション・ベンダーとして、小売業の課題解決にあらゆるソリューションを提供しています。
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