経営課題/リテールDX

「リアルタイムな行動提案」の重要性【データ利活用の提言 #3】

消費者の行動変容が激しい小売業界で、企業が売上目標を達成するためには、集客や顧客特典の充実以前の要素が最も重要です。既に存在する各種データを分析し、傾向値に基づいて店舗行動を改善する取り組みーデータの利活用こそが、売上アップの近道です。


 

まず、小売市場についておさらいしておきましょう。

経済産業省「2021年 小売業販売を振り返る」によると、日本の小売市場は150.4兆円強。今でも世界的に非常にダイナミックな市場です(2022年上期は74.8兆円。前年同期比1.5%増)。コロナ禍の影響で一時的に落ち込んだものの、今後数年で回復・成長するとみる予測も存在するほどです。

経済産業省_2021年小売業販売を振り返る_2021年主要な業態から見る商業販売額(経済産業省「2021年 小売業販売を振り返る」より)

市場は伸びしろがある状態ですが、すべての小売業がそのまま成長するかといえば、そうではありません。伸びる企業と伸びない企業には決定的な違いがあります。それは、データを重要視しているか否か、です。

消費行動が活発であれば、来店客は増え、客単は上がり、売上は伸びるでしょう。しかしご周知の通り、今はそんな時代ではありません。コロナ禍を契機として消費者の行動変容は激しくなりました。物価高の影響で、消費行動そのものがコロナ以前の勢いを失っています。

つまり、客足の鈍化、購買志向の鈍化がみられる小売市場において、小売業は対策を講じる必要があります。しかしそれは、集客にお金をかけることでも、顧客特典を充実させることでもないと、私は考えます。一番の対策は、常に変化し続ける店舗データをしっかり分析し、その傾向値に基づいてリアルタイムに打ち手を考え、行動に起こしていくことではないでしょうか。

それはいわば「リアルタイムな行動提案」といえるものです。

顧客行動や商品の人気具合、販売実績などをデータ化し、それらの傾向値に基づいて店舗スタッフにパーソナライズされた提案をリアルタイムに提供する仕組みは、店舗スタッフのとるべき行動を明確にします。具体的な行動にまで落とし込むことで、店舗スタッフは迷いなく業務を遂行することができるのです。効果的に売上を向上させる確実な手法です。

たとえば、ある商品の売行きが好調で需要が高い傾向があった場合、スタッフはリアルタイムで行動提案を受け、お客様にその商品を提案することができれば、販売につながる可能性が高まります。また、システムが来店客数の少ない時間帯について傾向を検知し、全店舗スタッフに対してインセンティブや割引情報を遅滞なく提供すれば、売上の底上げを狙うこともできます。

Back view image of businessman with arms crossed behind back

さらに、取り組み強化による売上促進だけでなく、店舗スタッフがお客様の行動や嗜好をより良く理解することにもつながります。これはお客様にとって、よりパーソナライズされた満足度の高い顧客体験へとつながり、最終的にロイヤリティと顧客満足度の向上にもつながります。

リアルタイムな行動提案は、売上目標の達成に向けた具体行動を現場に落とし込むという店舗・企業目線のメリットと、優れた顧客体験・満足の提供という顧客視点のメリットを兼ね備えた、非常に有効な手法であるといえます。これにより、変化の激しい小売市場であっても、データの下支えによるデータドリブンな売上体制が構築でき、企業の成長性を高め、競合に打ち勝つことができるのです。

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