小売店オーナーや店舗展開企業の担当者様向けに店舗分析と来店客数の計測について説明します。店舗での人流分析はデジタル化と市場の変化に伴い急速に普及しており主要な計測方法として2つあります。一つは高精度の3Dカメラを使用する来店カウンターで、24時間運用に適しており、高いデータ精度と信頼性を提供します。もう一つはネットワークカメラを使った方法で、導入コストは低いが、24時間運用には不向きで、データ精度が低く、システムの不具合が起こりやすいという欠点があります。特に光の不足や障害物がある場所ではデータ収集に問題が生じる可能性が高いです。本記事では店舗での来店客数の計測方法の種類をそれぞれの特徴と比較しながら解説していきます。
数年前ではあまりメジャーではなかった店舗分析ですが、デジタル化や市場のニーズの高まりを受けてスタンダードになり、今や多くの小売店舗のエントランスにカメラやセンサーをお見かけするようになりました。
そこで今回は、店舗分析システムにご興味のある方に向けて、店舗分析の基本中の基本、来店数計測についてご紹介します。また、お客様からよくいただく
「人数はどうやって数えているのか?」
「計測の精度は?」
「計測中にシステムトラブルは起こらないのか?」
といった質問にもお答えいたします。
入店したお客数の計測には、主に2つの方法がメジャーです。「来店カウンターによるカウント」と、「通常のネットワークカメラによるカウント」です。
1. 来店カウンター(TC)
来店カウンター(Traffic Counter/トラフィック・カウンター)は人数計測専用のセンサーで、店舗入口の天井に設置して来店者を計測します。
真上の位置から人を識別するので高精度のデータを取得でき、IoT(Internet of Things)のひとつとして注目されています。
(来店計測のイメージ)
来店カウンターの設置は工事が必要ですが、店内の雰囲気に馴染みやすい施工がなされるため、アパレル店などではブランドのイメージを損ねることなく設置することが可能です。
【特に3Dカメラは高精度・高機能】
来店カウンターのハードウェアは「24時間の運用に耐える高い耐久性」と「98%前後の高いデータ精度」を誇り、非常に正確な人数カウントが可能です。
データはクラウドでの管理が主流なためネット環境は必須ですが、追加で管理用サーバやPCを設置する必要はありません。万が一ネットワーク接続が切れた場合でもカウントはストップせず、センサー本体にデータが蓄積されるため、データを確実に収集できます。
さらに、大規模導入にも十分対応できる可用性・拡張性も持っています。
私たちFlow Solutionsのこれまでの経験から申し上げると、もっとも不具合が少なく、データを安全に管理できる来店数計測方法は、来店カウンターを用いた方法です。おススメです!
2. ネットワークカメラ
インターネットに接続されたネットワークカメラを用いて入口の様子を撮影し、その画像データを顔認証ソフトなどで解析して人数を割り出す方法です。この方法では、カメラの他にPC(小型スティックタイプPCなど)が必要になります。
置き型カメラやスティックPCは、もともと来店数を数えるために作られた機器ではないため、熱を逃がす構造を基本的に持っていません。よって、24時間の連続稼働に耐えられず不具合を起こす可能性が高い、といわれています。
また、カメラ本体にデータを保持・カウントする機能がないため、ネットワークに接続されていない間のデータは取得することができません。
(最近では無線インターネット回線でデータ送信する機能がついているモデルもあります)
このように、ネットワークカメラには「不具合時のデータ計測ができない」「データ保持が基本的にできない」というデメリットがあります。来店数という貴重なデータを精緻に取得する目的においては、マイナスポイントです。
不測の事態を回避するためには、不具合時のアラート機能が付いたソフトの利用や、不具合中の代替対応、データ予測・補正を的確にできるようにする仕組みなど、予めトラブルシューティング体制を整えておく必要があります。
さらに、肝心のネットワークカメラのデータ精度については、前述の来店カウンターと比較すると低いといえます。
たとえば、カメラ前に什器が置かれている場合や光量の少ない場所では、顔がよく映らず計測が困難なことがよくあります。正確にデータをとるためには、入口のカメラ設置箇所に常に光がよく当たるようにし、カメラ前に什器が無いようにすることが必要です。
ネットワークカメラを用いた来店数計測は、導入コストを抑えたい小規模な店舗にとっては手軽に利用できる方法ではあります。しかしその一方で「システム不具合が起こりやすい」「データ精度が低い」というデメリットがあることを、十分にご認識ください。
3. 来店カウンターとネットワークカメラ 比較表
来店カウンター | ネットワークカメラ | |
98%以上 | データ精度 | 環境や条件によって 精度の差が生じる |
比較的高い |
価格 | 比較的安い 5,000円/台 前後~ |
工事が必要 | 設置 | カメラを置くだけ (ネット回線が必要) |
不要 | 必要機材 | PCや管理サーバが必要 |
安定的なデータ計測 (データ保持が可能) |
計測の安定性 | データ取得に懸念点 (環境に依存しやすい) |
来店数計測は他にも様々な方法があるので、店舗の規模や利用用途、予算に応じた適切なシステムを導入したいところです。
ソリューションを選択・運用していくにあたり、機器導入からデータの利活用に至るまで、サポート体制についても大変重要なポイントです。【来店客計測】サポート体制で注意したい、重要なことは?
システムの導入を検討するにあたり、費用が非常に大きな決定要素であることは言うまでもありませんが、その部分にあまりに引っ張られ過ぎてしまうと、安価であるがゆえに、精度の悪いシステム・不具合へのフォローアップができないシステムによって、期待されるデータ取得や分析が十分にできない懸念を持ち続けることになります。
私たちFlow Solutionsでは、来店計測システムを複数店舗に導入されるお客様に対しては、来店カウンターを推奨しています。精度の良し悪しでお客様に悩まれてほしくないからです。
とはいえ、お客様によって状況はマチマチかと思います。
特に「来店計測を導入したいがまずは体験してみたい」「来店数を自動計測したいが店舗にセンサーを設置できない」といったお声を多くうかがうようになってきた昨今、「Clicker/クリッカー」」というFlowの人気機能があります。
Clickerは大量来店の店舗には不向きですが、現在手動カウントしている店舗には大変適しています。手集計の数値を報告書に書き込んだり、実は数えているだけで活用できていない!なんてことが ありませんか?
Flow Clickerは、スマホアプリで手動カウントした数値を自動でデータ化します。POS連携していれば売上との相関性=購買率が自動算出されるので、店舗売上アップの肝となるKPIを活用出来るようになるわけです。
ご興味ございましたらぜひ、お気軽にお問い合わせ下さい。
■ Flow Solutions 会社概要
株式会社Flow Solutionsは、2016年にデータ活用プラットフォームの提供を開始し、アパレルや雑貨店、家電量販店など、これまで100社以上・900店舗以上へのシステム導入と3,000以上のセンサー接続実績があります。リテールデータ活用プラットフォームFlowは、IoTによる人流計測データや既存データとの連携によって店舗状況を可視化し、AI技術を用いた多次元なデータ分析を可能にします。店舗データの活用によって売上改善や業務効率化に効果を発揮するソリューション・ベンダーとして、小売業の課題解決にあらゆるソリューションを提供しています。
