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オフィスと店舗のデータ活用 そこにいればバリューやパーパスが浸透していく。そんな空間ができるまで(Vol.2)

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データ活用の視点から、プロフェッショナルの言葉を聞く特別対談、第二回目。
前回に引き続き、The Place Shibuya からお送りします。          構成:竹口忍、阿部真乃

Vol.1 はこちら

柳沢 私はもともと、店舗マネジメントに関わっていたのですが、スタッフのエンゲージメントを確認する上で、年に2回、そのための機会を設けていました。ヴィス様はオフィスを作るというお仕事が中心になりますが、同じように従業員のエンゲージメントを視覚化する仕組みを取り入れられているとお聞きしたのですが、その点を詳しくお聞きしてもよいでしょうか。

戸田 そうですね。私たちは、ツール(ココエル)を使った組織やメンタルヘルスケアについてもサポートさせていただいています。
やはり会社の方針という軸がしっかりあっても、その拠点ごとに、拠点長のカラーが良くも悪くも色濃く出てしまうということがあり、気がつくと、ある時期に、特定の拠点だけ離職が続いているというケースもあります。
そういった際に、健全な組織体系ができている拠点と、黄色信号が出ている拠点を比較して、今、どんな状況か、なぜそうなってしまったのかをデータで客観的に認識できるようにしています。
そうすると、拠点長に問題があるというわけではなくて、例えば、たまたまリテラシーが少し低いメンバーが集まってしまって、そういった状況が生まれてしまっているということが確認できるようになります。
この場合は、拠点長へのフィードバックだけでなく、やはりデータを拠点全体で見ながら組織として一次対応から始めていくという対応策を考えていくことになりますので、そのための仕組み、ツールが必要になってきます。

柳沢 そういった感情に関する内容はなかなか見えづらい部分がありますが、ツールを使うことによって、その背景まで確認できるというのは、とても素晴らしいと思いますし、小売業においても、それが結局、売り上げという数字に直結していくのではないかと思います。
今まではそれが難しかったですし、簡単に数値化できなかったので、アンケートやヒアリング内容を活用しながら ... というのが精一杯だったような気がします。

戸田 マネジメントに必要な能力というのも、いろいろありますので、面談に慣れていない、苦手という方もいるはずです。
プレーヤーとして優秀だった方がマネージャーになると、「どうしてこれが出来ないんだろう」などの悩みを抱えることも多いでしょうし、そういったケースも数字をもとに一緒に考えていくと、人間関係も含めた仕事の質の向上に繋げていくことができるかもしれません。
ただツールを導入すれば解決というわけにはいきませんが、それを活用していく上で、声をかけていくタイミングが増えて、まずは変化に気づくきっかけが増えていくと思います。
そして、パフォーマンスの高い組織というものがどのように作られているかというのを、全体で共有して、納得しながら、再現性を上げていくという流れができていくのではないでしょうか。

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柳沢 おっしゃる通りです。数字やデータというと、苦手意識や嫌悪感を感じる方もいるかもしれませんが、そこまで難しいものではなくて、気づきの材料になるだけでも価値はあると考えています。

戸田 ツールには記述式、選択式の設問も用意していますので、定性的なデータも活用できますし、その結果を人事総務など担当者と振り返ったり、読み解き方のフォローも行っています。

柳沢 組織全体のコミュニケーションのきっかけにもなりますね。

戸田 そうですね。ただ、ツールの活用だけでは、コミュニケーションのなかで意外と大事な「間」というものが感じられなかったりもするので、オフィスとリモートというハイブリットな環境のなかで、心理的安全性(組織のなかで安心して自分の考えを発言できる状態のこと。もとは心理学用語だが近年、働き方が変わっていくなかで注目を集めるキーワードとなっている)というものを考えながら、進めていく必要はあると思います。例えば、オンラインの会議の画面を周りの方たちが囲んで発信しやすいレイアウトしたり、すぐに話し合いができるように、キャスター(車輪)がついたデスクを置いたり、そういった工夫が求められています。
情報共有する場面と、高集中できる場面、両方に対応できる環境と言えるかもしれません。

柳沢 そこまで高度に考えた上でオフィスが作られているのですね。
小売業に置き換えると、店員だけでなく、お客様に対してもそういった考え方が必要で、それが今までは感覚値や肌感といった曖昧なものになっていましたが、それをデータを使って実証していくということなのかなと。
そして、今まではそれをスタッフの経験値に頼っていたところがあったんだろうなと思います。
もちろんそういった感覚の部分は大事ではあるのですが、そのあたりの温度が一番、本社(本部)と店舗で食い違ってしまう部分だったような気がします。

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戸田 そういった小売業で起きている食い違いのようなものは、少しずつ解消されている傾向があるのでしょうか。

柳沢 やはり新型コロナウィルス感染症のパンデミック以降で大きく変わってきたと思います。
DX という言葉が独り歩きしていた状態から、ここ数年で一気に本格的な活用の段階に入った企業は多いです。

戸田 オフィスに関しても、やはりここ数年でいろいろな変化が起きましたが、「心地よい距離感」というものも変わった気がします。
それを数値化して活用していく必要がありますし、AI や RPA の分野も発展が目覚ましいので、より知的生産性を上げることができる環境というのが求められています。
そのあたりは、カルチャーで伝えられる部分と、ICT(情報通信技術を活用したコミュニケーション)の力や、オフィスファシリティ(オフィス移転、レイアウト・設備の変更など)で向上が見込める部分があると思います。
 ただ、個々のパフォーマンス、組織の力を向上させるために出来ることはたくさんあって選択肢は増えましたが、 それを実現させるために大事にしている「つながる」という軸は変わらないという印象です。

柳沢 まさに、この The Place Shibuya のコンセプト「TSUMUGI」につながっていきますね。
本日は、お忙しいなか、 貴重なお時間をいただき、ありがとうございました。

戸田 こちらこそ、ありがとうございました。

会社紹介
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株式会社ヴィス
https://vis-produce.com

はたらく人々を幸せに。
はたらく空間やしくみを進化させるオフィスのデザイン、移転、レイアウトをはじめ、
インテリア、グラフィック、WEB・DTP デザインまでを手がける。
新型コロナウィルス感染症のパンデミック以降、加速する働き方の進化に向き合い、
オフィスデザインからワークデザインへビジネスモデルを拡大中。

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株式会社フローソリューションズ
https://www.flow-solutions.com/

リアル空間とそこで働く人々の環境を、データでよりスマートに。
施設や店舗など空間の分析データを収集・視覚化・活用するためのプラットフォーム、Flow を提供。
これまで 100 以上の企業と 900 以上の空間で導入され、3,000 以上のセンサー設置実績を有する。
データを活用した施策立案・改善をサポートし、スタッフのスキル向上のための活動にも力を入れている。

撮影場所
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The Place Shibuya
https://vis-produce.com/theplace/office/shibuya/

ビジネスの拠点として最適な場所、渋谷道玄坂にある 24 時間利用可能なフレキシブルオフィス。
少人数でのスタートアップに最適な完全個室のほか、
40 坪ほどのイベントスペース(最大 50 席を用意)では定期的にイベントが開催されている。
コンセプトは【TSUMUGI】。利用者同士の繋がりだけでなく、来訪者や渋谷という場所との関係が紡がれている。