この記事では、売上アップと業務効率化に繋がる「データに基づくコミュニケーション」の重要性と、実践方法を解説します。ポイントは、「事実」と「意見」を分けることです。これはそれほど難しいことではなく、いくつかのポイントを意識するだけで、コミュニケーションの質は大きく向上します。
・ケーススタディ「採るべきコミュニケーションの方法」
・重要な三つのポイント
・数字を準拠にしたコミュニケーションの例
ケーススタディ「採るべきコミュニケーションの方法」
例えば、一つの店舗の店長が次のような報告をしたとします。
「先週の売上目標が達成しなかったのは、接客が不十分だったからだと思います」
この報告を受けた経営者やスーパーバイザーは、どのような指導をすればよいのでしょうか?
「じゃあ、今週は接客を強化しよう」といったアドバイスだけでは、売上改善に繋がる具体的な実行策には経結しにくいことがあります。
なぜなら、この報告は「接客が不十分だった」という意見が含まれていますが、これを事実として承認するための完璧なデータ表示が不足しているからです。
ではどのようなコミュニケーションが必要なのでしょうか。
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2つの言葉の意味を調べてみましょう。
事実
1. 実際に起こった、または存する事柄。
「予想した災害が起こったという―をどう見るか」
2.《副詞的に。「…は事実だ」との気持から》 本当に。
「―そういう結果になった」
1. 実際に起こった、または存する事柄。
「予想した災害が起こったという―をどう見るか」
2.《副詞的に。「…は事実だ」との気持から》 本当に。
「―そういう結果になった」
意見
1.《名》ある問題についての考え。
「―を戦わせる」(それぞれ意見を述べて議論する)
2.《名・ス他》自分の考えを述べて人をいましめること。
「君から―してやってくれ」
1.《名》ある問題についての考え。
「―を戦わせる」(それぞれ意見を述べて議論する)
2.《名・ス他》自分の考えを述べて人をいましめること。
「君から―してやってくれ」
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接客は「お客様へのサービス全般」と言い換えることができます。それが「不十分だった」というのが、先程の店長の報告でした。
ここで3つの疑問が浮かび上がります。
1. 本当に接客は不十分だったのか?なぜそう断言できるのか?
2. どのぐらい接客が不十分だったのか?
3. 接客が不十分だと売上目標が達成できないのか?
接客は「お客様へのサービス全般」と言い換えることができます。それが「不十分だった」というのが、先程の店長の報告でした。
ここで3つの疑問が浮かび上がります。
1. 本当に接客は不十分だったのか?なぜそう断言できるのか?
2. どのぐらい接客が不十分だったのか?
3. 接客が不十分だと売上目標が達成できないのか?
これらの疑問を掘っていくことで、その事実と対策を考えることができます。
では、それぞれをくわしく見ていきましょう。
では、それぞれをくわしく見ていきましょう。
重要な三つのポイント
1.接客が不十分だったと断言できる根拠は何か?
「接客が不十分」という意見を確認するために、「十分とされる接客数」「過不足を判定する指標(KPI)」が定められている必要があります。つまり、定量的に計測できている状態があってはじめて、「接客が不十分だった」と言えるのです。
2.接客が不十分だったのはどのくらいなのか?
上記に関連しますが、実際に「接客が不十分だった」としても、何件不十分だったのか、もしくは何%不十分だったのか、がポイントになります。そしてその片方だけに着目すると重要なことを見落としてしまいます。
仮に、日次で100名のお客様に接客することを目標として「接客数」をKPIとして設定したとします。
月曜: 来店客200名 接客数100名
土曜: 来店客1,000名 接客数100名
接客数だけを見ると、どちらの曜日も達成していることになります。
では、来店客数に対してどのくらいの割合で接客できているかを示す「接客率」を見るとどうでしょうか?
土曜: 来店客1,000名 接客数100名
接客数だけを見ると、どちらの曜日も達成していることになります。
では、来店客数に対してどのくらいの割合で接客できているかを示す「接客率」を見るとどうでしょうか?
月曜: 来店客200名 接客数100名 接客率100名÷200名=50%
土曜: 来店客1,000名 接客数100名 接客率100名÷1000名=10%
月曜の接客率50%に納得感はあるものの、土曜の接客率10%は低いと言わざるを得ません。接客できなかった人数が100名と900名では大きな差がありますし、その分売上機会を逸したことになるからです。
このように、適切な指標を選択することが大事です。そして、単一的な指標ではなく複数の視点で指標を設定することで、多角的に評価するべきです。
土曜: 来店客1,000名 接客数100名 接客率100名÷1000名=10%
月曜の接客率50%に納得感はあるものの、土曜の接客率10%は低いと言わざるを得ません。接客できなかった人数が100名と900名では大きな差がありますし、その分売上機会を逸したことになるからです。
このように、適切な指標を選択することが大事です。そして、単一的な指標ではなく複数の視点で指標を設定することで、多角的に評価するべきです。
3.接客が不十分だと売上目標は達成できないのか?
売上目標と接客数の関係を明確にしなければ、接客が不十分なことと売上の低評価とが直接繋がりません。売上の回復に対する同意を作り出したいなら、その因果関係を解明する必要があります。
上記を整理すると以下の3つの大事なポイントが挙げられます。
a. 定量的な計測
b. 適切な指標設定と比較による評価
c. 売上とKPIの相関性、因果関係、対策の明確化
b. 適切な指標設定と比較による評価
c. 売上とKPIの相関性、因果関係、対策の明確化
数字を準拠にしたコミュニケーションの例
本社・現場間ではこれらを意識することで、コミュニケーションの向上と業務改善が期待できます。
たとえば、店舗分析プラットフォームFlowを使ってコミュニケーションするとこんな感じになります。
たとえば、店舗分析プラットフォームFlowを使ってコミュニケーションするとこんな感じになります。
AM:
「一緒に先週のデータを見てみましょう。購買率が先々週と比べて若干下がっていますね。曜日別でみると、他の曜日はそれほどでもないですが、月・火と日が少し落ち込んでいます。何か原因は考えられますか?」
「一緒に先週のデータを見てみましょう。購買率が先々週と比べて若干下がっていますね。曜日別でみると、他の曜日はそれほどでもないですが、月・火と日が少し落ち込んでいます。何か原因は考えられますか?」
(Flowイメージ画像:購買率の日別推移/実線が先週、点線が先々週)
A店長:
「先週月・火・日は、ショッピングモールでシニア向けイベントが開催されました。その影響で来店人数はいつもより増えたんですが、普段の客層と違う方が多く来店されました。その接客に追われて、普段平日の14時頃に行う品出しができず、夕方頃まで店頭で欠品が発生してしまったんです。このイベントは当面、月・火・日に継続的に開催されるそうなので、なにか対策を打たなければと考えているところです。」
AM:
「確かに、特に月曜・火曜ともに、13時~15時台の来店客数が先々週より伸びていますね。それまでアイドリングの時間帯だったこの時間を店内整理に充てていたってことですよね?」
「でもこれって、シニアの売上アップのチャンスですね。13時~15時台の来店客数がこれまでより伸びることが予め読めるのであれば、そこを狙ってスタッフを増員してみてはどうですか?」
「先週月・火・日は、ショッピングモールでシニア向けイベントが開催されました。その影響で来店人数はいつもより増えたんですが、普段の客層と違う方が多く来店されました。その接客に追われて、普段平日の14時頃に行う品出しができず、夕方頃まで店頭で欠品が発生してしまったんです。このイベントは当面、月・火・日に継続的に開催されるそうなので、なにか対策を打たなければと考えているところです。」
AM:
「確かに、特に月曜・火曜ともに、13時~15時台の来店客数が先々週より伸びていますね。それまでアイドリングの時間帯だったこの時間を店内整理に充てていたってことですよね?」
「でもこれって、シニアの売上アップのチャンスですね。13時~15時台の来店客数がこれまでより伸びることが予め読めるのであれば、そこを狙ってスタッフを増員してみてはどうですか?」
A店長:
「スタッフシフトを見直して、月曜・火曜の遅番の入り時間を早めてもらうか、早番の上がり時間を遅くしてもらって、その分他の曜日の出勤時間を調整すれば、なんとかいけそうです。ウチは金曜がそこまで来店客数が増えない傾向がデータから明らかなので、金曜を時間調整する曜日にしてみます。」
AM:
「いいアイデアですね、ぜひやってみてください!その次は、シニア向けの接客を一緒に考えませんか?客単価の高いシニア層の来店傾向、活かしましょう。」
「スタッフシフトを見直して、月曜・火曜の遅番の入り時間を早めてもらうか、早番の上がり時間を遅くしてもらって、その分他の曜日の出勤時間を調整すれば、なんとかいけそうです。ウチは金曜がそこまで来店客数が増えない傾向がデータから明らかなので、金曜を時間調整する曜日にしてみます。」
AM:
「いいアイデアですね、ぜひやってみてください!その次は、シニア向けの接客を一緒に考えませんか?客単価の高いシニア層の来店傾向、活かしましょう。」
A店長:
「ぜひお願いします。シニア層の接客にスタッフ全員で頭を悩ませていたので助かります。実現できたら売上が伸びそうです。」
「ぜひお願いします。シニア層の接客にスタッフ全員で頭を悩ませていたので助かります。実現できたら売上が伸びそうです。」
このように、データに基づいたコミュニケーションは、同じデータを共有して、目標達成に繋がることが確かできます。深い意見を議論できる基盤になり、店舗の改善に繋がります。
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事実(データ)に基づくコミュニケーションの大切さ: 本社と店長編
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■ Flow Solutions 会社概要
株式会社Flow Solutionsは、2016年にデータ活用プラットフォームの提供を開始し、アパレルや雑貨店、家電量販店など、これまで100社以上・900店舗以上へのシステム導入と3,000以上のセンサー接続実績があります。リテールデータ活用AIプラットフォームFlowは、IoTによる人流計測データや既存データとの連携によって店舗状況を可視化し、AI技術を用いた多次元なデータ分析を可能にします。店舗データの活用によって売上改善や業務効率化に効果を発揮するソリューション・ベンダーとして、小売業の課題解決にあらゆるソリューションを提供しています。店舗分析に関することなら何でも、お気軽にお問い合わせ下さい。