私たちを取り巻く環境は2020年、大きく変化しました。
基本的に外出は自粛、外出するならマスク必須、都度消毒・除殺菌、手洗いはマスト、他人とは「ソーシャル・ディスタンス」と称して一定の距離を取る、外出先での飲食もできるだけ避ける、外で集団になることを良しとしない…2019年には想像もできなかった世界が、今の私たちの日常となっています。
小売業は、その影響を最も受けた業界のひとつです。リアル店舗の客足は鈍り、売上は減少。投資に慎重になる企業が多い一方、DX(デジタル・トランスフォーメーション)によって業績アップした企業との格差は広がりつつあります。このままでは小売業全体が益々、元気を失っていく…。
私たちFlow Solutionsは、この厳しい環境下にある小売業の皆様を「データ活用AIプラットフォーム」という発想でサポートしたい。弊社が必ずや貴社のお役に立つことをお伝えしたい。そのために、経営課題を立脚点としてFlowの有効性をご紹介するシリーズ『小売業の経営課題に対するFlowの有効性』を制作するに至りました。ぜひご一読いただければ幸いです。
(「小売業の経営課題に対するFlowの有効性」 全体像)
構成
- 小売業を取り巻く4つの環境
- 社会環境 「コロナ禍」
- 経済環境 「投資への抵抗感」
- 事業環境 「リアル店舗とEC」
- 技術環境 「DXに半信半疑」
- 4つの経営課題
- 売上アップ
- 意思決定の迅速化
- 業務効率化
- 店舗の自主的成長
- 小売業の経営課題に対するFlowの有効性
- 事業KPIの統一
- ダッシュボード機能
- レポート機能「Pulse」
- 詳細レポート
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今回は「1」と「2」、環境変化と経営課題の相関性をふまえた方策について、弊社の見解をご説明します。
そして、経営課題に呼応するFlowの具体的な機能・特徴をご紹介する「3」については、何回かに分けてお届けしようと思います。
このコンテンツ・シリーズが貴社の新たな一歩と気づきになることを、心から願っています。
- 小売業を取り巻く4つの環境
- 4つの経営課題
- まとめ
1. 小売業を取り巻く4つの環境
A. 社会環境: 「コロナ禍」
現状を把握する上でまず、この話題に触れないわけにはいきません。
2020年初頭から本格的に伝染が始まった新型コロナ・ウイルス(COVID-19)は、社会・経済に非常に大きな打撃を与えました。全世界規模でロックダウンや自粛となり、あらゆる領域で影響を及ぼし続けています。
(累計約2.2億人の感染者・450万人強の死者<2021年9月22日現在>)
日本国内では、2020年1月に最初の感染者が確認され、3月には新型コロナ・ウイルス対策の特別措置法が成立、4月に最初の「緊急事態宣言」が発令されました。以降、断続的な宣言・解除があり、現在は5回目の宣言が一部都道府県で発令中です。さらに、翌21年2月の法改正で「まん延防止等重点措置」が新設され、こちらも現在一部地域で発令されている状況です。
(累計約168万人の感染者・1.7万人強の死者<2021年9月22日現在>)
このウイルスは、人々の生活を完全に変容させました。外出自粛で巣ごもり需要は膨れ、ECや配達サービスが一気に認知・浸透した代わりに、リアル店舗や商業施設などへの客足は遠のいてしまいました。その結果、2020年は小売業関連の売上のほとんどが、前年を著しく下回る厳しい結果となりました。
(前年比で小売業商材の多くが大きく前年を割り込んでいる)
小売業全体で-3.2%と前年割れ。飲食料品と医薬品は成長を続けていますが、それはこれまで以上にそれらが必要となった生活背景=コロナ禍があるからで、衣服や各種小売商材は前年を大きく割り込んでいます。
2021年に入り回復の兆しが見え始めたという向きもあります。下図にあるように、確かに前年同期比プラスの成長が多くの小売分野で見られます。しかしそれは前年=2020年が大きく落ち込んだためであって、前前年の実績には届いていません。そしてコロナ禍がこの先いつ収束するかの見通しがまだ立っていない状況は、当面続くと思われます。
(経済産業省 経済解析室「2021年上期 小売業販売を振り返る」では回復基調に見えるが…)
ここで大事になってくるのが、事業への投資を行うか否か、です。
B. 経済環境: 「投資への抵抗感」
コロナ禍によって打撃を受けた小売業において、「投資に慎重」の傾向も一定以上見られるように思います。
下図によると、コロナ禍を受けて2021年度の設備投資を見送った中小企業のうち、その理由を「景気の先行き不透明」と答えた割合は70%を超えています。前述の売上減によって支出に慎重になった表れと言えます。
一方、コロナ禍とは関係なく同年度の設備投資を見送った中小企業のうち、最も多い理由が「現状で設備は適正水準」(68.0%)というのには、少し意外に感じます。そのようにお考えの企業が多いのは確かでしょうが、実際のところ「今はそう考えて耐え忍ぶしかない」「今は必要性を感じない」というお声もうかがいます。実際のところ、貴社はいかがでしょうか?
(商工中金「中小企業設備投資動向調査 2021年1月調査」より)
他方、設備投資を実施すると回答した企業は、コロナ禍の影響の有無にかかわらず一定数以上、その理由を「合理化・省力化」「増産・販売力増強(国内)」としていることは、大変注目すべき点です(下図)。
(商工中金「中小企業設備投資動向調査 2021年1月調査」より)
「合理化」「販売力増強」を設備投資の理由に挙げる企業は、市況を鑑みた上で、その先にある近未来での売上増、事業効率向上、規模拡大を狙っていることは想像に難くありません。まさに「攻めの経営」を志向していると言えるでしょう。
これらのデータは全産業を対象としているので一概には言えませんが、小売業においても基本的には同じ傾向ではないでしょうか。
設備投資有無の違いは、短期的ではなく、中長期において業績の差となって必ず表れてくることが予想されます。なぜなら、いち早く備え、いち早く環境を整えていく姿勢は、目まぐるしく変化している時代の潮流において必要不可欠な「迅速な経営判断と積極性」を満たしているからです。
C. 事業環境: 「ECとリアル店舗」
コロナ禍が加速させた事業面での大きな変化は「非接触型のビジネスモデルの成長」ではないでしょうか。
2015年9月、国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に盛り込まれた国際目標「SDGs/持続可能な開発目標」。17の項目が挙げられていますが、その中の「7 エネルギー」と「9 イノベーション」が、非接触型のビジネスモデルに関係します。
つまり、テクノロジーを駆使して人の接触を減らし人の物理的移動を抑えることで、二酸化炭素の排出削減に繋がる。その結果「13 気候変動」の目標達成も目指す、というものです。
(Sustainable Development Goals/持続可能な開発目標)
昨今この標語を様々なメディアで非常に多く見かけるようになりましたが、そこにコロナ禍が背景として加わったことで、その推進に拍車がかかったように思えます。近年急成長しているペイ系決済、セルフレジ、Bot接客などがその実例と言えますが、私たちは以前からその代表例を知っています。それはEC、ネット通販です。
消費者がインターネットのECサイトに掲載された商品を閲覧し、付随する情報を確認し、その場で決済方法を選択し購入する。商品は指定場所まで配送されるーーー購入者は自宅に居ながらにして商品を購入し、手に入れることができるわけです。そこにはリアル店舗にあるような人同士の接触や会話、商品の触感や色彩、香りなどはありません。非接触型のビジネスモデルとして既に成立しています。
2020年、そのECは大幅に成長しました。理由は無論、コロナ禍による巣ごもり需要です。
(経済産業省「令和2年度 電子商取引に関する市場調査 報告書」より)
上図のようにBtoCのEC市場は前年比+21.7%の成長で、今までになくハイペースです。さらに注目はEC化率の8.08%。BtoC市場全体の8%ほどがEC化されたことを意味します。もうすぐ10%に届く勢いです。つまり、小売業を中心とするBtoC市場において、売上の10%をECが占める状況が既に現実なのです。
リアル店舗とECの両方をお持ちの小売企業は非常に多いと思います。そしてコロナ禍による客足の鈍化、営業自粛などによって、リアル店舗の売上が減少したことは非常に痛手ですが、その一方でECの売上が増大したケースも多かったのではないでしょうか。
かといって、事業全体を大幅にECにシフトするというほど、ECの売上が大きいわけでもない。リアル店舗とECの事業バランスをどう取っていくかは、非常に重要なポイントです。
そこで皆様に質問です。
・リアル店舗に来店されるお客様と、非接触型なECのお客様は、果たして同一人物でしょうか?
・片方しか利用していないお客様の割合は、貴社のお客様全体の何%でしょうか?
・リアル店舗を利用されるお客様が、ECを利用するのはどんなケースでしょうか?
・ECのお客様が購入前に実際の商品に触れる機会は、本当にないのでしょうか?
…たとえばこれらのようなことを考えた時、自然とこう思うはずです。「リアル店舗とECで相互補完する(循環する)お客様を育てることはできないだろうか?」と。言い換えれば「リアルとECの相互送客」です。
これが、最近メディアによく登場するキーワード「DX/デジタル・トランスフォーメーション」のひとつなのです。
D. 技術環境: 「DXに半信半疑」
「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」
経済産業省が2018年に発表した「DX推進ガイドライン」に掲載の、DXの定義です。要は「データとデジタル技術を活用して、ビジネスの様々な領域に変革をもたらし、その成長を促すもの」です。
OMO、D2C、Bot接客、オムニチャネル、クライアンテリング、マグネティック・エクスペリエンス…用語解説はここでは割愛します。「どれも胡散臭い」「ウチには関係ない」「どうせ流行り物」等の声が聞こえてきそうですが…。
難しく考え過ぎです。考え方はどれも至ってシンプルです。これらはすべて、事業のそこかしこをデジタル技術によってデータ化し、業務の最適化を可能とするものであり、その結果、お客様により良い顧客体験を提供するものです。
たとえば先程の「相互送客」は、オンライン(EC)とオフライン(リアル店舗)の融合、つまりOMO/Online Merges with Offlineにあたります。お客様のオンライン/オフラインの行動を捉え、適切なタイミングに、適切な訴求内容を、適切な手法でお伝えし、ECでもリアル店舗でも購入に至るような道筋を構築する仕組みです。そしてお客様は、オンライン/オフラインにかかわらず商品を快適に購入することができるという満足感を得るー考えていることはそんなに複雑ではありませんよね。
そして、DXは一過性のものでもありません。
その昔、企業には電算室という部署があって、店舗から届く伝票の山をひたすら端末に手入力し、売上を集計していたものです。それが90年代半ば、PCの登場によって劇的に改善され、商品バーコードを読み取って売上を自動集計するPOSレジが誕生しました。大幅な業務効率化と正確性、そして分析までも容易にしたPOSのデータは今や、なくてはならない存在です。
このPOSもDXと言えます。ECも顧客管理システムも営業支援ツールも、DXの定義に合致しています。
確かに、システムやソリューションには流行り・廃りがあります。しかし、DX自体は、そこへの対応を間違いなくどの企業にも求められます。なぜなら、デジタル技術によるあらゆる領域のデータ化・可視化は、前述の「SDGs」の観点からも、設備投資という名の「攻めの経営」の観点からも、ウィズコロナやニューノーマルといわれる「社会変化への対応」の観点からも、必要不可欠な要素だからです。
この流れは不可逆的で、経済産業省が2019年に発表しているDXに関するレポートでは「DX導入が実現できなければ、2025年以降最大12兆円の経済損失が発生する可能性がある(2025年の崖)」と言及しています。
DXという流れは一過性の「流行」ではなく、もはやビジネスにおいて必須の流れであることは、間違いないのです。
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ここまで、小売業を取り巻く4つの環境について解説しました。皆様がお持ちのご印象と共通する部分はございましたでしょうか?
これらをふまえて、次に、皆様が現在抱えている経営課題を捉えてみようと思います。
2. 4つの経営課題
A. 「売上アップ」
言うまでもない命題であり、永遠の課題です。そして結論から申し上げると、恒久的な売上アップの法則は存在しません。しかし売上アップを目指す近道は、確実に存在します。
社会環境=コロナ禍によって、リアル店舗の客足が鈍っていることは皆様実感としてお持ちかと思います。お客様を捕まえられなければ、売上は伸びません。ということは、売上構造を正しく、正確に把握する必要があることは自明です。売上を構成する要素のどこにボトルネックがあるのか、なにが不足していて、なにが余剰なのかを把握し、その適正化を図らなくてはなりません。
ほとんどの小売業にはPOSが導入されていると思います。そのデータを紐解くと、購買数(レシート数≒購買者数)、購買内容(商品カテゴリ、商品、点数、金額)、購買日時、レジ担当者などの情報が網羅されているはずです。これらすべて、非常に重要なデータです。しかし、それだけで良いのでしょうか?
そもそも、購買者は来店したから購買してくれたわけです。つまり、
購買者数 ÷ 来店者数 = 購買率 (%)
は、店舗の事業効率性の観点で大変重要な指標(KPI/重要業績評価指標)です。このパーセンテージが高ければ高いほど、その店舗は売上効率の良い店舗ということになります。
購買率が低いということは、そこにはなにか原因があるはずです。品揃えなのか、接客内容なのか、店舗レイアウトなのか、イチオシ商材の見せ方なのか。会計待ちの行列の長さに購買を諦めた方はいなかったのか…様々な要素を検討する必要があります。そしてそれら要素は基本的に、データ化されていることが望ましい。データがなければ、ただ憶測・肌感覚の域を出ず、正確性に欠けるからです。
購買日時も重要です。日別・曜日別・時間帯別などの売上構成を調べれば、月内のどの日・どの曜日・どの時間帯に、店舗の売上が伸びるのか、傾向値を導き出すことが可能だからです。これは店舗スタッフのシフト組成にも役立つ情報です。
とはいえ、時間軸の分析には「再現性のない事象」が要因として挙げられる可能性もあります。それは、天気かもしれません。店舗が入っている商業施設でその時期イベントがあったのかもしれません。団体客の来店かもしれません。いずれにせよ、そこまで調べることができれば、非常に精緻にデータ分析と今後の予測が立てられるのです。
そして「買わなかった人」の分析も重要です。
どんな業態であれ、購買率が100%の店舗はまず存在しません。確実に買わなかった人がいます。その傾向を把握し対策を練ることで、購買率アップへの貢献が期待できます。つまり売上アップへの貢献です。
たとえば、ある店舗の1日の購買率が25%の場合、75%が「買わなかった人」になります。その方々の時間帯別来店傾向を調べ、それが高い時間帯はスタッフによる声がけや店内セールの実施などを仕掛けることで、購買率アップを狙うことができます。
もしその店舗の平均客単価が3,000円、平均来店者数が1,000人/日の場合、購買率が5%上がる(=購買者数+50名)だけで売上が15万円/日アップします。1週間で105万円のプラスです。決して小さくはありません。
これもまた、来店者数をデータ化できていれば容易に実現可能な施策になります。
このように、売上構造を正しく、正確に把握することで、様々な分析と考察、そして対策を講じることができます。売上アップにはこうしたデータの収集と可視化が必要不可欠であることを、どうかご認識ください。
参考: 下図は弊社社長のチャドが以前制作した、オンラインとオフライン(店舗)のKPIを対比させた表です。リアル店舗に最低限必要と思われる要素を網羅していて非常に分かりやすいと思いますので、ご参照ください。
B. 「意思決定の迅速化」
社会環境の変化速度は必然的に、事業環境の変化を加速させます。ここに対応できなければ、企業のビジネスモデルが時代に呼応できず、企業の成長を見込むことができません。
意思決定を早くすることは、事業全体の対応力を強化します。最近では「アジャイルな組織が理想」などといわれますが、実際に組織改編することはそう簡単ではありませんし、そこに至るには相当の覚悟と耐性を要します。
意思決定のスピードを上げるには、なにも組織を変えるだけが手段ではありません。それは「データドリブンな考え方」を取り入れることです。
私たち人間は知っています、知識や経験値は非常に貴重で尊いものであることを。しかしそれらに依存し過ぎると、急激な変化や未経験の状況時に対応しきれないことがあります。知識や経験値がいつの間にか固定観念や思い込みにすり替わってしまうーそこに効く処方箋が「データドリブン」です。
「データドリブン」とは、データ分析で得た結果をベースに企画立案し、事業を展開していく方法です。
皆様は、経営計画策定の際、様々なデータ(KPI)を比較検討し、最適解を求めて立案すると思います。それをもっと日常的に取り入れていくべきです。というのは現代、特にお客様の購買行動が複雑化している中、これまで以上に彼らの情報を多く取り入れなければ、効果的な意思決定を下すことが難しいからです。
そのためにはやはり、事業におけるあらゆるKPIをデータ化し、蓄積し、分析できる状況を作らなければなりません。店舗に関するデータ、お客様に関するデータ、商品に関するデータ、従業員に関するデータ…事業に関するデータはいたるところに存在します。これらをまとめ、可視化し、分析可能とするプラットフォームがあれば、意思決定のスピードは劇的に向上します。
但しひとつだけ、極めて重要な前提条件があります。それは「ビジョン」です。
データを収集し、可視化し、分析するところまでは、どの企業も行います。しかし、その先ー分析した結果をどう活かすのか、なにを目指すのかを明確に定めるかどうかで、その先の成功は決まります。それがビジョンであり、データドリブンな経営です。
テクニックに優れていたり、体力値が高かったり、決定力が高い選手たちが揃っているサッカーチームがあったとしましょう。チームプレイの約束事がしっかり決まっていて、選手たちのモチベーションも高い。監督も選手たちのことを良く知っています。
しかし、実際の試合で様々なシチュエーションに遭遇した時、これまでの経験値に基づいたフォーメーション変更や個別選手へのポジション指示だけでは乗り切れません。そこにプラスして、対戦相手の試合傾向や相手選手の特徴をふまえた作戦指示や選手配置など、「経験値+データ」が有効です。
つまり、監督が明確で論理的なビジョンを持ったマネジメントができなければ、せっかくのタレントたちの能力を十分に発揮させることができず、良い成績を残すことはできません。
これは、私たちのようなデータ活用プラットフォーム企業がいくら説いても、企業がその重要性を認識してもらわないかぎり実現しません。
データがあれば大丈夫、ではありません。データを活用できてこそ、説得力のある、的確かつ迅速な意思決定が成立するのです。このことをぜひ、心がけていただければと思います。
C. 「業務効率化」
「売上アップ」と両輪で語られることが多いキーワードである一方、費用対効果(ROI)を示しづらい要素でもあります。
任意の業務における作業時間と作業者の給与から時給換算して計測する方法、作業時間だけを比較する方法、作業者の全担当業務における当該業務の割合変化をみる方法など、施策にかけた費用に対する見返りをレビューする手法は様々です。
しかしひとつ明らかなのは、「単にシステムが導入されただけでは、業務効率化は決して実現しない」です。
自社サービスを紹介する時「これを御社に入れるだけで業務が大幅に改善されますよ」と喧伝するシステム会社をもし貴社がご存知であれば、くれぐれもお気をつけください。「データがあれば大丈夫、ではない」と先程申し上げましたが、それと同じく「システムがあれば大丈夫、ではない」のです。
業務効率化の肝は、システム導入前後で当該業務への負荷がどれほど軽減され、なお且つ、軽減された時間をなにに割くことができるようになったか、そしてそれがどの事業KPIにどのくらい貢献したか、を追跡することではないでしょうか。
業務負荷の軽減は、システムと呼ばれるものであればそのほとんどが謳っているものです。しかしそれだけでは必要にして不十分。業務負荷軽減と共に、作業者がそのシステムを活用して他業務にどのくらい作業量を割くことができ、結果的に企業の売上にどのくらい貢献したのかを計るべきです。
その算出は、データを収集・可視化できるシステムであれば比較的容易です。ここでも「データ」を「活用」することができるわけですね。
D. 「店舗の自主的成長」
これは比較的最近よく耳にするキーワードです。
小売業の場合、本社からの指示が一律かつ徹底されることを望むケース、店舗状況に応じて指示を変えその徹底を図るケースなど、その経営スタイルは様々です。そんな中、店舗の自主性を促す取り組みを行っているケースを見かけることがあります。
これはなにも、店舗に自由気ままに営業活動を行ってほしいというわけではありません。「店舗にもちゃんと考えて行動してもらいたい」という意図があります。本社からの指示待ちだけでは、店舗それぞれで直面している仔細な問題の根本解決にはならないからです。
とあるお客様が弊社Flowを導入されたのですが、そこで非常に興味深いことが起こっています。エリアの定例会議で各店がデータを駆使して状況報告を行っていたところ、その会議時間が当初は90分以上もかかっていたものが、今は40分ちょっとで終わるようになったというのです。
Flow導入直後は「どう使いこなせば良いのかわからない」と言っていた店舗が、程なくしてコツを掴み始め、自店状況を簡潔かつ効率的に把握・報告できるようになったわけです。その背景には「売上を上げるためにお客様の動向を探るにはどのデータを見るべきか」を自主的に考えながらFlowに日々慣れていった、店舗様の探求心と好奇心があるようです。
企業にシステムが導入される際、本社とシステム会社が主導して店舗の利用方法をマニュアル化し、トレーニングと指示の徹底を行うのが通例です。勿論、それ自体は間違っていませんし非常に重要です。やはり本社が手綱を握って指導していくことで、店舗もシステムに慣れていきます。前述の企業様も同様の方策を取っています。
しかしここからが大事なのですが、本社が店舗に「Flowのデータを見て自分たちが何を感じ、何をすべきか考えてほしい」という思いを常々落とし込んでいたのは、特筆すべき点だと思います。こうすることで、店舗は考えなくてはならない。自店舗の売上を伸ばすためにどのデータに注目し、なにをすべきかを、論理的に組み立てなければならない。これを実践できるということは、データ分析ができる店舗の集団を形成することになります。売上向上や業務改善に自主的・積極的に取り組むことのできる、データに非常に強い集団、と言えるのではないでしょうか。
勿論、そのシステムが誰にとっても直感的にわかりやすい画面と構成でなければ、この構想も難しくなります。店舗の自主的成長を促すには、体系立てられたわかりやすいシステムと、明確な意思を持った本社の指導(売りの現場に探求心や好奇心を持たせる雰囲気づくり)が大事であると、改めて感じています。
3. まとめ
今回は、小売業を取り巻く環境(外的要因)と、抱えている経営課題(内的要因)について、ご説明しました。当てはまる事柄もあれば、正直、当てはまらない事柄もあったかと思います。いずれにせよ様々なケースがあることを少しでもご認識いただけたのであれば、非常に光栄です。
所々で少しだけ触れていますが、私たちのシステム「Flow」は、特に小売業における様々な店舗データを収集・統合し、AI分析によってデータを活用できるように成形するプラットフォームです。
取得した事業KPIを直感的にわかりやすいUIで一覧表示し、問題点を顕在化させます。店舗・エリアマネージャー・本社それぞれの視点でデータを取りまとめるため、それぞれの立ち位置でデータが可視化され、データ分析のスピードはもとよりそれに伴う意思決定のスピードも上がります。店舗の行動と本社の意思決定に活用し、企業全体が「データドリブンな経営スタイル」にシフトすることができます。
さらに、今回のトピックに関連づいた、もう少し具体的なFlowの項目について、これから随時公開していきます。どうぞご期待ください。
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シリーズ「小売業の経営課題に対するFlowの有効性」- 小売業を取り巻く環境と経営課題 (本ページ)
- 事業KPIの統一 (10/4月 公開予定)
- ダッシュボード機能 (10/11月 公開予定)
- レポート機能「Pulse」 (10/18月 公開予定)
- 詳細レポート (10/25月 公開予定)
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Flowおよび弊社に関してのお問い合わせはこちらまで。貴社のお悩みをぜひお聞かせください。お待ちしています。
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この記事を書いた人
FlowSolutions マーケティング・マネージャー。
■ Flow Solutions 会社概要
株式会社 Flow Solutions は、2016年にデータ活用プラットフォームの提供を開始、アパレル、雑貨店をはじめ、家電量販店など、すでに800を超える店舗の売上改善のためのデータ活用を提供。店舗可視化IoTシステムを通じて取得する顧客行動データの提供、データ活用のためのアフターサポート、さらにデータからすぐに行動につながる、通知サービスの提供を開始、小売課題解決のためのあらゆるソリューションを提供しています。
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