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WEARが作り出す「ECならではの買い物体験」に小売店が対抗できるものとは?

作成者: Flow Solutions|2016/09/28 23:00:00

00年代以降、小売EC市場が急激に拡大したことで、小売実店舗の存在意義を再定義せざるを得ない大変革が小売業界に訪れました。

ECの登場したころ、実店舗は「実際に商品を見て、質を確かめられる」というECが持ち合わせない強みを持っているため、十分に差別化が出来ると考えられていました。しかし、消費者のとった行動は、実店舗で商品を確認した後、ECの最安値で購入するという「ショールーミング」というもので、とりわけ家電量販業界でこの行動が顕著になったのです。アパレル業界にとって幸いだったことは、ECと実店舗の商品価格の間に差がないため、ショールーミングが大きな脅威とならなかった点です。また、試着ができないECでの買い物は、アパレルには適さないと考えもありました。

しかし2013年、アパレルEC大手のZOZOTOWN(スタートトゥデイ)がファッションコーディネートアプリ”WEAR”をリリースしたことにより、消費者がECでアパレル商品を購入することへのハードルが下がっているというのです。

WEARは、自分の好みのコーディネートやアイテムを探して”SAVE”する機能があるほか、自らもコーディネート画像を投稿することで、友人とコミュニケーションをとることができるサービスです。また、芸能人やファッショニスタ、ショップスタッフをフォローすることができ、お気に入りの有名人の投稿したコーディネートのポストの中に気に入ったアイテムがあれば、そこから直接ZOZOTOWNの商品ページに飛んで購入することができます。商品ページ内にも、サイズ・色・質感といった商品の詳細な口コミが、執筆者のコーディネート画像と体型のデータとともに掲載されています。この「顔と名前のわかる誰かの口コミ」は十分な信頼を得ていて、購買につながっているというのです。

 

WEARユーザーは、憧れの有名人のコーディネート画像によって商品を探し、自分と体型の近い人の口コミを参考にZOZOで商品を購入しています。さらに、購入したアイテムを使ったコーディネートを、今度は自分が投稿して反応をもらう、という買い物体験を楽しんでいるのです。

WEARは、「実際に商品を見て、質を確かめられる」という実店舗の特権を、WEARが持つ700万人以上のユーザー同士のコミュニケーションによって克服しただけではなく、ECで希薄になると思われていた「買い物をすることの楽しみ」を別の角度から作り出しているのです。 


ではこの「ECならではの買い物体験」に実店舗が対抗できる強みとは何でしょうか?

実店舗の強みはなんといっても「接客」です。同じ商品を日本全国どこからでも購入出来るようになった今こそ、販売スタッフ対消費者の直接のコミュニケーションが重要視されているのです。

育児中の買い物体験ー接客から得る満足を分析

欲しい商品を購入する場の選択肢が増えたからこそ、消費者は心に残る接客を受け、満足のいく買い物体験のできた店舗に強い愛着を持ちます。

また最近では、ティーン向けブランドのショップスタッフが雑誌にモデルとして掲載されたり、はたまたテレビに出演するなどして人気を得るなど、消費者の「販売スタッフへの愛着」が注目されています。店舗がスターとなるスタッフを持つことで、「スタッフに会いに来る」顧客が、そのスタッフの勧めた商品を購入するという図式が出来ているです。

このようにして店舗に愛着を持った顧客は「生涯顧客」として、店舗に長期に渡って足を運んでくれる存在です。小売実店舗は、WEARのユーザーが有名人をフォローすることと同じように、店舗のフォロワーをより多く作ることが求められています。

 

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