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「 Flowの計測領域の意味と効能」(全6回) ⑤ 計測領域その3 「レジ待ち混雑」「試着室利用」

作成者: Flow Solutions|2021/10/18 2:30:00

今回含め残り2回となったシリーズ企画「Flowの計測領域の意味と効能」。これまでお伝えしてきたのはこんな感じでした。

第1回 Flowが考える「データドリブン経営」とFlowの「効能(1/2)」
第2回 Flowの「効能(2/2)」
第3回 計測領域その1「来客数」「購買率」
第4回 計測領域その2「来客属性」「立寄人数」

概論から各論へと展開し、Flowがカバーする多様な領域とその意味について、実際の画面を交えてご説明してきました。今回は「レジ待ち混雑」「試着室利用」の登場です。今回の両者、計測の発想は実はほぼ同じ。よって一遍にご説明します。また、Flowの計測領域全般に関連する「個人情報」についても、今回触れてみようと思います。参考になれば幸いです。

本日のTOPIC「計測領域その3」
A. 人流計測と個人情報
B. 「レジ待ち混雑」と「試着室利用」

 

A. 人流計測と個人情報

店舗に来店されるお客様に関するデータを想像した時、すぐ思いつくのは「来店(来客数)」「店内行動(立寄人数)」「購買(購買率)」などではないかと思います。これらだけでも十分にお客様の行動を把握するのに有効です。

これらについて「個人情報はどうなっているのか?」と、色んな方からよく聞かれます。WEBカメラやセンサーを使って計測するということは、お客様ひとりひとりを認識するのだから、それは個人情報に該当しないのか?ということですが、結論から申し上げると、Flowは個人情報を取り扱っていません。なぜなら、個人を特定できるデータ保持の方法を取っていないからです。

 

 

「個人情報」とは

個人情報は「個人情報の保護に関する法律」で定義されています。
法律は一回作ったらそれでOKというわけではなく、時代と共にその表現や範囲は変化するものです。特に個人情報は、時代性や技術進化によって取り巻く環境が激しく変化する項目です。そのため、法律そのものを都度改正していくというよりは、大元の法律を補完する規定ー基本方針、政令、規則、ガイドラインなどを追加・改正していくことで、時代の流れに対応しています。

個人情報保護委員会(PPC/Personal information Protection Comission)が公開している最新の個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)によると、個人情報の定義は以下のように記載されています(原文ほぼママ)。

「個人情報」とは、生存する「個人に関する情報」であって、「当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等により特定の個人を識別することができるもの(他の情報と容易に照合することができ、それにより特定の個人を識別することができるものを含む。)」又は「個人識別符号が含まれるもの」をいう。

つまり、「個人を識別できるもの」もしくは「個人識別符号が含まれるもの」を個人情報と呼んでいることになります。住所や電話番号、メールアドレスは「識別できる」ので個人情報ですし、顔画像、個人の身体、経歴なども該当します。目に見える情報(画像、映像)だけでなく音声も範囲に含まれ、暗号化などによって秘匿化されているかどうかは問題ではない、ともされています。

それでは、たとえば「防犯カメラ映像」はどうでしょうか。

多くの店舗がWEBカメラやAIカメラを使って店内を常時撮影し、商品の盗難や不審な行動を監視していますが、そうした映像データは一定期間保存され、随時参照することができるはずです。この時、その映像に映るお客様の顔や身体、場合によっては音声も、個人情報に該当します。なぜなら上記の通り「個人を識別することができるもの」だからです。

では、「Flowが計測・収集する各データ」はどうでしょうか。

Flowの来客数の計測は、特定エリアをある一定条件において人が通過する際にカウントするものです。その際、通過する人の顔や身体などをデータ取得・保持するわけではなく、あくまでも通過した事実のみを記録するので、保持するデータは「人数」でしかありません。よって「Flowの来客数計測は個人情報を含まない」ことになります。

Flowの来客属性の計測は、お客様の顔を認識し、予め定義された性別・年齢層の傾向値と照合し、その方の性別・年齢層を判別します。一見すると個人情報そのものに思えますが、その判別結果のみをデータとして記録するので、ひとりひとりの顔データを保持するわけではありません。つまり「10月18日 14:30 男性 30代」をデータとして記録するのみで、そのデータをもたらした実際の画像は保持しません。よって個人特定できる手段がないため、これもまた「Flowの来店属性計測は個人情報を含まない」ことになります。

昨今話題となっているDX(デジタルトランスフォーメーション)において、顧客のオンライン(EC)・オフライン(店舗)での行動を紐づけることによってその場面に応じたプロモーションを行い、顧客の購買行動を促進する活動「OMO/Online Merges with Online」という言葉を聞いたことがある方も多いことでしょう。この場合、顧客を確実に特定する必要があるため、OMO全体としては個人情報を取り扱うことになります(システムの一部においては取り扱わない領域もあります)。この取り組みを実施する際、顧客はこれを拒否する権利があり、規約に基づいてその可否を判断するわけです。

 


…ちょっと難しく細かい話になりそうで本筋から外れるのでこの辺で止めておきますが、個人情報の取扱はいずれにせよ、非常に難しい領域です。新たなシステムや取り組みを導入される際は、予めその取扱についての事前調べが肝心です。情報システムが絡むとなると尚更なので、IT系に明るい法律事務所に見解を聞くことも大事かと思います。

 

B. 「レジ待ち混雑」と「試着室利用」

①「レジ待ち混雑」

店舗のレジに並んだお客様の人数を計測することを指します。
レジ待ちの行列が長く、会計までに時間がかかると、中には購買を止めてしまって帰る方もいるかもしれません。いわゆる行列からの離脱は「売り逃し」とも言われ、販売機会の損失=売上減の悪循環をもたらします。お客様のネガティブな印象が口コミなどで広まっては、店舗の評判そのものにも影響を与えかねません。

そこで、レジ前の行列エリアにセンサーを設置し、その人数を計測します。一定人数以上の待ち行列が計測されると、Flowのシステムが店舗スタッフ宛に注意を促すメッセージを自動配信。それを受けてスタッフは追加でレジを開けたり、お客様へのお詫びの声掛けを行うことで「売り逃し」を回避する取り組みが可能となります。

計測方法は、3Dセンサーを使用します。計測すべきレジ付近の行列エリアの天井にセンサーを設置し、そのセンサーの範囲内に滞留する人の数と時間を計測します。
計測項目は、「レジ待機人数」「レジ平均待機時間」「通知送信回数」「通知対応回数」です。前者2つはお客様の状況を示すデータ、後者2つはスタッフに関するデータとなります。
計測においては、人物を特定せずに単に人数を記録するため、前述の個人情報にはあたりません。

 


(Flow画面「フロア別時間帯別レジ前混雑状況」。複数フロアを計測するとこのようにフロア間比較もできます。時間帯によってレジ待ち行列人数がどのくらい発生したのかを示したものです)

 

②「試着室利用」

試着室を利用したお客様の人数をリアルタイムで計測することを指します。
試着室の運営は意外と難しい、と聞いたことがあります。スタッフを張り付きで置いても、時間帯によって利用者数の波が激しく、試着でのお客様対応に過不足を発生させてしまうことがある、と。かといって人を置かないと盗難含めた事態にも対応できないー売上に直結する場面なだけに、対応が難しいものです。

そこで、試着室エリア付近にセンサーを設置し、その人数を計測します。この「試着室利用回数」を計測することで、店舗売上やスタッフ接客の両面との相関性を紐解く重要なKPIとなり得ます。

計測方法は、赤外線センサーを使用します。試着室付近の入口エリアの天井にセンサーを設置し、そのセンサーの範囲内を通過する人の数と時間を計測します。
計測項目は、「試着室利用回数」「試着室平均滞在時間」です。
計測においては、人物を特定せずに単に人数を記録するため、前述の個人情報にはあたりません。

 

 

③両者の共通点と活かし方

①と②、見比べてみて…いかがですか?実はほぼ同じことをやってます。それは「特定エリアにおける人の数と時間を計測している」。そしてそれらの計測は、「その特定エリア自体の効果測定と活用検討に役立つ」のです。

レジ待ち、ということは、お客様が「購買」までほぼ確実に辿り着いてくれたということです。そこまで行ってくれたのに、待ち時間が長い等の理由で離脱されてしまうのは、非常に、非常に勿体ないことです。直言すると、それは店舗側の完全なオペレーション・ミスです。追加レジを開ければ、お声がけして心象を少しでも良くしておけば…そうした後悔をしないように、レジ待ち混雑のデータを活用し、レジ前行列への配慮と改善を徹底すべきです。

試着室利用前後、お客様と店舗スタッフのあいだに何らかの会話が発生することは、ほぼ間違いないでしょう。そこから購買までの道のりが長いか短いか、「試着室利用回数」と「購買数(レシート数)」を並べて時間軸で比較すると、その相関性が見えてくるかもしれません。もし、その関係性が強いと判断されれば、店内回遊するお客様に対する接客に「試着室利用」を重点ポイントと置いて取り組むことが望ましい、ということになります。

 

 

④店舗活動への貢献

「レジ待ち混雑」は、前述のように、店舗の「購買促進」最後のチェックポイントです。ここのケアをしっかりすることによる売り逃し防止は効果的です。また、スムーズな会計体験はお客様の「顧客満足度向上」に効きますし、そこでの心象度はきっと向上すると思われます。

「試着室利用」は、これも前述のように、店舗の「売上」との相関性によってその有効性を活用することで、「購買促進」「販促効果」に効きます。また、スタッフ配置の参考にもなるデータなので、利用数が多い時間であればスタッフによるケアを厚くさせる等の策も打て、「シフト管理」に役立てることができます。

「レジ待ち混雑」「試着室利用」はどちらも、特定エリアのお客様の人数を計測することで、サービス改善と顧客満足度向上に寄与することが期待できるデータになります。
人流計測は、単に来店~購買までの道筋を示すだけでなく、こうした「特定エリアでの行動」に対する気配りもサポートすることで、より強固な店舗活動のベースとなるのです。

 

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「レジ待ち混雑」が貢献する店舗活動:

「購買促進」「顧客満足度向上」

「試着室利用」が貢献する店舗活動:

「購買促進」「販促効果」「シフト管理」

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「レジ待ち混雑」「試着室利用」についてご説明しました。個人情報の取扱という懸念についてはこれらの領域に問題はありません。お客様の人数を計測することでそのエリアの状況改善策を検討することや、他のKPIと掛け合わせることでそのエリアをさらに活用する取り組みを思案する等、とてもデータドリブンな店舗活動が実現できると思います。

「データドリブン」は、単機能の集合体なシステムを決められた通りに利用するのだけではなく、そのプラットフォーム上にあるデータを使い倒し、データを組み合わせて複合的に生まれる新たな発想や改善策のすべてを指します。
Flowはそうした使い方ができるプラットフォームです。

(前回と全く同じ終わり方です…大事なのでもう一度使わせてもらいました)

 

次回が最終回です。お見逃しなく。

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シリーズ「Flowの計測領域の意味と効能」更新予定

  1. 「データドリブン経営」とFlowの「効能 (1/2)
    (来客促進、購買促進)
    公開済
  2. Flowの「効能 (2/2)(販促、シフト、顧客満足度、来客・売上予測)
    公開済
  3. 計測領域その1 「①来客数」「②購買率」
    公開済
  4. 計測領域その2 「③来客属性」「④立寄人数」
    公開済
  5. 計測領域その3 「⑤レジ待ち混雑」「⑥試着室利用」
    (本ページ)

  6. 計測領域その4 「⑦店舗前通行量」「⑧施設混雑状況」
    (10/25月 公開予定)

 

(「Flowの計測領域の意味と効能」 全体像)

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この記事を書いた人





Flow Solutions マーケティングマネージャー。マーケに関する全てを統括。自宅近所のスーパーで大のお気に入りだった焼きたてパン(ブール)が店先から消えてはや2か月。未だ復活の兆候は見当たらない。お店の人に復活の有無を聞くべきか、真剣に悩んでいる。

■ Flow Solutions 会社概要

株式会社 Flow Solutions は、2016年にデータ活用プラットフォームの提供を開始し、アパレル、雑貨店、家電量販店など、すでに100を超える法人様の売上改善や業務効率化に貢献してきました。
店舗可視化IoTシステムを通じて取得する顧客行動データの提供、データ活用のためのアフターサポートなど、経営課題解決のための様々なソリューション・メニューをご用意し、現在さらなる進化を遂げるべくシステム開発に勤しんでいます。
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