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「 Flowの計測領域の意味と効能」(全6回) ③ 計測領域その1 「来客数」「購買率」

作成者: Flow Solutions|2021/10/04 2:15:00

シリーズ企画「Flowの計測領域の意味と効能」ではこれまで、「Flowが考えるデータドリブン経営」ではデータ活用の重要性を、「Flowの効能」では店舗活動に対するFlowが貢献すること全般についてご説明してきました。

第1回 Flowが考える「データドリブン経営」とFlowの「効能(1/2)」

第2回 Flowの「効能(2/2)」

これら前段をふまえて、今回からは、Flowが計測する項目を具体的に紹介し、それらがどんなメリットを提供するかをご紹介していきます。まずは、最重要な事業KPI「来客数」と「購買率」です。

共に、Flowによって極めてベーシックな計測領域であり、店舗活動の核となるデータソースです。ご一読ください。

 

本日のTOPIC「計測領域その1」
A. 来客数
B. 購買率

 

A. 来客数

店舗データ分析の最初の一歩、来客数をまずは見ていきましょう。その名の通り、来店するお客様の人数のことです。

①計測方法

「来客数」というと、スタッフが手動で人数を数えていることもあれば、来客カウンター・システム(「来客(来店)カウンター」「ピープルカウンター」「TC/トラフィック・カウント」など)を使って自動取得しているケース、実は肌感覚で大体の人数として日々計上している店舗など、その対応はマチマチではないでしょうか。手動よりも自動の方が計測精度・作業負荷の観点からも優れていることは、言うまでもありません。

Flowでは、ネットワークに接続された機器(IoT)で自動的に計測(カウント)されたデータを取り込み、ほぼリアルタイムに「来客数」として可視化します。

 

(来客カウンターとFlowの標準的なネットワーク図)

もう少し詳しく見ていきましょうか。

a. 機器
赤外線によるセンサーや3Dカメラ、ネットワークカメラなどを使用します。昔はベビーカーやスーツケースも人としてカウントしてしまう機器もありましたが、最近は高精度なもの(認識度95%以上)がほとんどです。

 


(センサーによる計測。天井に設置しても目立たない形状で、店内雰囲気を壊すことはありません)

 

3Dカメラであれば立体映像で空間を捉えるので、人数カウントの精度がさらに高まります(98%程度)。データ管理はクラウド上で行い、万が一ネットワーク切断が起こっても一時的にデータを保存できる機種がほとんど。長時間連続使用への耐久性も高いです。

ネットワークカメラは低コスト・設置が簡単というメリットが魅力です。要はカメラなので、映像範囲の調光加減によって計測が困難になったり、発熱しやすい(長時間連続使用は厳しい)等、デメリットもあります。

私たちがおススメするのはセンサー、3Dカメラによる計測です。その正確性、データ保管、耐久性の面で手離れのよいIoTといえます。

b. 設置エリア
「来客数」をカウントするので当然、店舗エントランスに設置します。店舗面積やエントランスの間口の広さによって設置台数は異なります。

c. 設置方法
最適なのは天井です。人が通る場所の計測において一番遮蔽物が少ないからです。エントランス両脇に門構えのように機器を設置するパターンなどもありますが、遮蔽物の影響でカウント精度は落ちます。

②計測データの意味

「来客数データ」は、実際には他のKPIデータと照合して、より透過的なお客様の流れを把握できるわけですがそれは後述するとして、ここでは「来客数データそのものから読み取ることのできる意味」を考えてみましょう。

来客数推移を曜日別・時間帯別でチェックすれば、どの時間帯の来客が多いかが把握できます。そしてそこには「来客の波」が必ずありますが、ここで考えていただきたいこと、それは「この波はどこからやってきたのか?」です。

考慮すべきは、人間の生活習慣そのものです。自店のターゲット客層が、生活の中で来店いただくタイミングはいつなのか。それは平日お昼、仕事合間のお昼ご飯時に立ち寄るのかもしれません。平日夜、仕事終わりの帰り道の途中かもしれません。休みの日の午前、買物デーとして多店舗をまわる一環かもしれません。

また、出店形態・場所によっても考慮すべき点があります。商業施設のテナントを例に考えてみましょう。

来客数の波は、商業施設全体の来客傾向に引っ張られる可能性は高いです。その施設で大きな集客力を持つ存在―スーパーマーケット、映画館、イベント会場などの営業・開催時間によって、人の波はかなり動くと考えられるからです。
その波を想像しつつ、自店の来客数推移と見比べ、関連性があるのかどうかを考えれば、どのような外的要因が来客数に影響を及ぼすのか推察できます。関連性が強ければ、今後類似した外的要因が発生すると予めわかっていると、その対処がしやすくなるわけです。

「来客数」はいわば「見込顧客」です。この中から購買客は生まれます。よって非常に重要なKPIであり、その推移を確認・把握することを、今一度確認しておくべきです。

 


(Flow画面例「パワーアワー」。「どの曜日・時間帯の来客が多いか」をビジュアルで示したもの)

 

③店舗活動への貢献

「来客数」は、他のデータとの照合によってさらにその効力を発揮します。

「購買データ」(POSデータなど)は言うまでもありません。レシート数を購買客数とカウントすれば、来客数~購買客数の推移が可視化されます。こちらについては後述「購買率」で解説します。

たとえば「シフトデータ」。シフト組成する際の材料として、「来客数」の推移に応じた人数・スタッフの組み合わせが接客体制として十分だったのかどうか、スタッフは余ってはいなかったか、売り逃しはなかったのかを把握・改善できなければ、お客様の購買促進や満足度向上は叶いません。

「店舗前通行量」も非常に有効です。「来客数」と照合すれば、通行人→来客の割合がわかり、店頭での販促活動が機能していたのか、販売機会を逃すようなことになっていないかを確かめることができます。

「立寄人数」は、特定場所における人の立ち止まり状況をカウントしたデータです。特出し商品コーナーや店頭ショーウィンドーなどが計測対象となります。「来客数」と掛け合わせることで、来店客のうち何%の方が特定場所を閲覧したか、効果を測定することが可能です。

他にもデータ照合することで見えてくるものが沢山あります。つまり「来客数」データは、様々な店舗活動に活用できる、貴重かつベースとなる重要なKPIのひとつなのです。

但し、単に計測・報告するだけではなんの意味もありません。この領域をしっかり精緻にデータ化し、前述のように活用してはじめて意味があります。それは確実に、店舗活動の論理形成と活性化に結びつきます。

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「来客数」が貢献する店舗活動:
「来客促進」「購買促進」「販促効果」
「シフト管理」「顧客満足度向上」「来店・売上予測」

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B. 購買率

計算式「購買客数÷来客数」で算出される、店舗データ分析に必須な事業KPIです。来店客数における購買客の割合を示すものです。

①「POSデータ」と「来客数」で導くデータ活用

今やほとんどの小売業で導入されている売上管理システム・POS。あまりに有名ですし、その効能については皆様も既によくご存知かと思いますので、ここでの解説は割愛します。

Flow自体はPOSを保有していません。企業に導入済のPOSシステムに接続することでPOSデータを取得します。Flowはその「購買客数」「金額」「購買点数」「購買日時」データを売上として集計し、Flowの画面に可視化させます。

購買客数と来客数のふたつを使ってFlowの中で自動算出される購買率」は、実に多くのポイントを教えてくれます。



(Flow画面例「詳細レポート」で「購買率」と「来店客数」を比較した表)


上図は、Flowの詳細レポートを使って「購買率」(青)と「来客数」(黄)を比較したサンプルデータです。販促強化策を行った2月のとある2週間(実線。期間A)を、その前期間(点線。期間B)と比較して効果検証するために生成したものです。

これで見ると、期間AはBよりも来客数が多かったことが分かる一方、購買率にほとんど変化がなかったことが分かります。つまり、期間Aは「来客が多かった割に購買率が下がらなかった=売り逃しや接客不足はなくスタッフが努力してくれた」と見ることができます。スタッフを労いつつこの調子を続けるべきです。
違う見方をすると、「購入率を上げられれば、来客数が多かった分売上がさらに伸ばせたかも」とも考えられます。購買促進としてセール内容見直しやPOP掲出などを検討してみると良いかもしれません。

何事も、その改善の取り組みを論理的に下支えするデータがあると、その効果測定がしやすくなり、次の一手を検討しやすくなります。これはFlowのほんの一例であり、非常に基本的な使い方です。Flowの画面で項目を選択するだけでこのグラフは簡単に自動生成されます。誰でも操作できる分かりやすさは、Flowの大きな特徴のひとつです。

購買率はPOSデータと来客数データがあって成立するものです。つまりこれらのデータは不可分なものであり、店舗活動を可視化するために必須です。

②他データと組み合わせれば深いデータ分析も

購買率を野球で例えると、来客数は打席数、購買客数はヒット数。つまり購買率は打率、ということになります。

想像してみてください。ただヒットを打つことだけを考える場合、野球選手は打率だけを気にしているのでしょうか?答えはNOです。ヒットを打つために必要なことはなにか、その要因をしっかり分析し、課題を認識し、改善することで、ヒットを打つ確率を少しでも上げようと努力しています。だから身体を鍛え、練習するわけです。
また、打席に立つ際の場面によっても、その状況は変化します。点差は?今何回で何アウト?ランナーは?ランナーの足の速さは?ピッチャーの特徴は?疲労具合は?キャッチャーのサイン傾向は?守備体形は?野手はどのポジションにいる?風向きは?監督のサインは?…

…少々悪ノリしましたが、野球選手は打席に立つ時、これらもしくはこれら以上のことを考えているはずです。

それは店舗でも全く同じことで、購買率(打率)だけ追いかけていればよいということはありません。購買率に影響のある外的要因・内的要因をもっと深く調べることで、改善ポイントが見えてくるのです。

たとえば、こんな分析はいかがですか?

「購買率とスタッフ人数の相関性」。これを検証すべく、Flowの詳細レポートを使って「購買率」と「スタッフ人数」のふたつのデータを対比させてみました。これでもし「購買率」の波と「スタッフ/時間」の波が同じように動いていれば、そこには相関性があるといえます。逆に連動性がないと、スタッフ人数もしくはスタッフ個人の接客内容などに問題があるのかもしれません。



(Flow画面例「詳細レポート」で「購買率」と「スタッフ/時間」を比較した表)


青が「購買率」、黄色が「スタッフ/時間」(1時間あたりのスタッフ人数)です。実線が調べたい期間A、点線がその前の期間Bですが、見てみると期間A・B共に、ふたつの波は基本的に連動しているようにみえます。ということはスタッフ人数は適正といえそうです。また、スタッフ人数の変動がないのに購買率が大きく上下するような箇所がほぼないところから、スタッフ個人による購買率への影響もなさそう、という推測もできます。
これは違う角度から見ると、突出して接客に長けているスタッフがいないということも類推できます。そうしたスタッフが混じっていれば、購買率がその日だけ他の日よりも明らかに上がるはずだからです。

これはFlowに「スタッフデータ」(時間帯別のスタッフ人数)を取り込んだことで可視化できたものです。購買率を中心に、それを構成する活動や要素を対比させてその相関性を確認するだけでも、非常に有益な分析結果を得ることができるわけです。

先程の繰り返しになりますが、これはFlowを使ったデータ分析と活用のほんの一例です。しかもこうしたグラフが簡単に生成できることは、Flowの非常に大きな特徴のひとつです。

「購買率」データは「来客数」データと「売上(POS)」データがあって算出されるものですが、これらを中心に他の様々なデータを組み合わせることで多様な分析が可能となり、店舗活動に役立ちます。

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「購買率」が貢献する店舗活動:
「購買促進」「販促効果」
「顧客満足度向上」「来店・売上予測」
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今回は特に重要な計測領域「来客数」「購買率」についてご説明しました。また、Flowの機能を使ってどんな分析・活用方法があるのか、その一例もご紹介しました。いかがでしたでしょうか?

Flowは、取得した事業KPI直感的にわかりやすいUIで一覧表示し、問題点を顕在化させます。店舗・エリアマネージャー・本社それぞれの視点でデータを取りまとめるため、それぞれの立ち位置でデータが可視化され、データ分析のスピードはもとよりそれに伴う意思決定のスピードも上がります店舗行動にも活用し、企業全体がデータを活用した「データドリブンな経営スタイル」にシフトすることができます。

Flowの計測領域、次回もお楽しみに。

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シリーズ「Flowの計測領域の意味と効能」更新予定

  1. Flowが考える「データドリブン経営」
    Flowの「効能 (1/2)(来客促進、購買促進)公開済
  2. Flowの「効能 (2/2)
    (販促効果、シフト管理、顧客満足度向上、来客・売上予測)公開済
  3. Flow計測領域その1 「①来客数」「②購買率」 本ページ


  4. Flow計測領域その2 「③来客属性」「④立寄人数」
    (10/11月 公開予定)
  5. Flow計測領域その3 「⑤レジ待ち混雑」「⑥試着室利用」
    (10/18月 公開予定)
  6. Flow計測領域その4 「⑦店舗前通行量」「⑧施設混雑状況」
    (10/25月 公開予定)

 

(「Flowの計測領域の意味と効能」 全体像)

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#小売業 #リテール #計測 #店舗 #データ活用 #分析 #来客数 #購買率

この記事を書いた人





Flow Solutions マーケティングマネージャー。マーケに関する全てを指揮・監督。ようやくワクチン接種の2回目が終わったが、本稿執筆時点で微熱があり少しボーっとしている。普段検温には無縁なので時々熱を計ることがちょっと楽しくなっているのは、ここだけの話。

■ Flow Solutions 会社概要

株式会社 Flow Solutions は、2016年にデータ活用プラットフォームの提供を開始し、アパレル、雑貨店、家電量販店など、すでに100を超える法人様の売上改善や業務効率化に貢献してきました。
店舗可視化IoTシステムを通じて取得する顧客行動データの提供、データ活用のためのアフターサポートなど、経営課題解決のための様々なソリューション・メニューをご用意し、現在さらなる進化を遂げるべくシステム開発に勤しんでいます。
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