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小売業KPIレシピシリーズ:客単価の低下を抑える方法と追うべき指標

作成者: Flow Solutions|2022/12/19 23:00:00

客単価の低下に対処する方法を紹介します。
まず、「平均商品単価」と「平均購入件数」を分析し、それぞれのKPIを向上させる戦略が必要です。

具体的な取り組みとしては、店内データのダッシュボードを活用し、効果を可視化することが大事です。

次に、特定商品の購入を促進するために上位商品を提案する方法や、セット商品の訴求を強化する方法などが挙げられます。さらに、施策実施後の効果検証や、成功例を共有し、改善点を見つけて次のステップに進みましょう。これにより、客単価の向上に寄与する総合的なアプローチができるでしょう。

TOPICS:

1. 「平均商品単価」「平均購入件数」のパフォーマンス状況をチェック

2. パフォーマンスを評価

3. 確認ポイント

4. 次のアクションを考える

5. 結果から次のステップに繋げよう!

回は「客単価」に特化して、その対策について考えてみましょう。
客単価は、売上を作るために非常に重要な要素。しかしながら、それをアップさせる術はなかなか難しい…と思っている方も多いと思います。

客単価を上げるために、皆様はどのような施策を打っていますか?


1. 「平均商品単価」「平均購入件数」のパフォーマンス状況をチェック

客単価を注視するにあたり「平均商品単価」と「平均購入件数(買上点数)」を確認してみましょう。つまり「いくらの商品をいくつ買っているか?」を調べます。

これら2つの要素は、POSのデータから確認することができるはずです。馴染みの深い数値と思いますが、リアルタイムに見ている企業様は少ないかと思います。

POSデータと連携したFlowでは、それらはダッシュボード上に一覧で表示されるため、一目で把握できます。(各要素の右上に赤字もしくは緑字で記載されている値は、データを閲覧したい期間と比較したい期間との対比になります。昨対比、対前月比、対昨日比などがすぐにわかります)

(Flowでは店舗のKPI実績値が一覧で見やすく表示されています)


2. パフォーマンスを評価

それぞれの値には、どのような意味合いがあるでしょうか?今一度確認しましょう。

・1点あたり、どのくらいの価格でお客様は購入したか?を表す「平均商品単価」
 

計算式は「平均商品単価=売上高÷総購買(買上)商品点数」です。高額商品を購入してもらうと上がる数値ですが、言い換えると店舗の売れ筋ですよね。

店舗は基本的に売れ筋を中心に仕入や商品陳列がなされるはずなので、平均商品単価がその設定値と同等以上であれば、店内の商品ディスプレイや接客などが想定通りに働いた結果、といえると思います。

・お客様1人あたり、何点購入したか?を表す「平均購入件数(買上点数)」
 
計算式は「平均購買件数=総購買商品点数÷購入件数(≒レシート数)」です。「セット率」と呼んでいる方も多いのではないでしょうか?

お客様の購買件数が多いということは、複数の購買意欲をかき立てたことになります。店頭ディスプレイ、商品陳列、POPなどによって訴求が奏効している、接客によって商品提案ができている、といった可能性が挙げられます。

3. 確認ポイント

以下のポイントについて、店舗状況を確かめてみてください。スタッフ全員が共通認識を持ち、実行できている場合は☑してください。

 ❒ 特定商品を購入しようとするお客様に、その上位商品をおすすめできていますか?
 ❒ 特定商品を購入しようとするお客様に、追加商品をおすすめできていますか?

前者は平均商品単価をアップさせる取り組みであり、後者は平均購買件数をアップさせる取り組みです。

お客様がご希望通りのお買物ができればそれで良い―――確かにそれは重要です。しかしそれだけではありません。
お客様が知り得なかった商品の存在、考えもしなかった商品の組み合わせなどは、その提案によって購買体験をより強烈に、ポジティブにしてくれます。これこそがリアル店舗の素晴らしい特長「体験」であり、その利点を最大限有効に使うべきです。

4. 次のアクションを考える

前述の2つの家訓ポイントができていない場合は、改善しましょう。以下を参考にしてみてください。

 ❒ 特定商品を購入しようとするお客様に、その上位商品をおすすめできていますか?

① 高ランク商品を提案する
似たような商品でありながら、高品質版やお客様の嗜好に近いものなど、お客様がメリットを感じられるような商品を提案します。たとえば、装飾品であれば素材による着用時の違いやケアのしやすさなどがポイントになりますし、家電であれば機能の違いや容量・サイズなどがポイントになるでしょう。「せっかく商品を購入するんだったら、より良いものを選びたい」という品質重視なお客様に対して特に有効です。
(お客様の嗜好をどうやって掴むか?は、服装・お手持ちの荷物・装飾品・腕時計などを見て「高級志向」「エコ志向」「流行重視」「個性重視」「お買物し始めたばかり」「お買物終盤」などを類推しながら会話すると、よりハッキリとお客様嗜好を掴みやすくなります)

② 売れ筋商品なら色違いを提案する
売れ筋商品にありがちな傾向として、特定の色・サイズが早々に売れてしまい、その他のものが売れ残ってしまうということがありますよね。そこで、あえて「売れ筋は黒ですが、こちらのベージュもきれいですよ」「Sサイズでジャストにお召しになるのも良いですが、ワンサイズ上でオーバー気味にお召しになるのも素敵ですよ」など、売れ筋以外の色・サイズを言及して接客すると、お客様に新たな気づきを提供することができるかもしれません。
但し、こちらはあまり強く言い過ぎると押し付け感が出てしまうので、一言程度に済ませておきましょう。

③ 商品提案の順番を変えてみる
セール商品 → 新商品、新商品 → セール商品など、提案する商品を適宜変えながら接客するのも良い作戦です。時間軸(季節・曜日・時間帯)やお客様(性別・推定年代)によってご案内の順序を変えるだけで、セールストークに興味を持たれるお客様が増える可能性があります。
たとえば、店頭セールの時期であれば、セール商品=お得感が得られる=お財布の紐が緩みがち、ですよね。そこに新商品の新鮮さをアピールして最新のブランドイメージを訴求すれば、より具体的に興味関心をもってお買物される可能性が高まります。

④ ECと比較して店舗でのお得感をアピールする
「店舗ではサンプルとして手に取って確認するだけ。購入時は便利なECを使う」というお客様が近年非常に増えました。その一方で、店舗で提供できる「体験」の幅の広さも大切にしたいところ。自社ECサイトでの購入案内はお客様の利便性向上という利点があるので適宜ご案内して良いと思いますが、それとは並行して店舗でのご案内=商品に触れてもらった上での特別感、商品説明、利用シーンなどをトークに混ぜてみてください。
「お得感」とはなにも、価格面だけではありません。店舗スタッフの「接客」によって得られる情報や体験もまた、お客様にとって「お得感」になるのです。

⑤ 世の中のトレンドを接客に取り入れる
当該商品のジャンルにおいて、その売上実績や最近のトレンドを確認し、その傾向を接客トークの中に取り入れて提案する方法です。
たとえば、コロナ禍による生産体制の確保が困難、原油価格高騰による輸送費増など、原材料の入手が以前より厳しくなったことで原価が高騰、商品の値上げをせざる得ないケースが昨今多く見受けられます。以前より原材料が入手しづらくなった=当該商品を製造することが難しくなった、ということは、当該商品を手に入れるチャンスが減ったということ。つまり希少性が高まった―――特別感の訴求によってお客様の心が動く可能性がありそうです。
これは商品によってその背景が様々なので一概には言えませんが、特に売れ筋上位に入る商品については、こうした情報や実績を調べて接客に活かしてみると良いと思います。

▶︎ 実施する際の注意ポイント!

上記①~⑤はすべて「アップセル」と呼ばれるものですが、これらを過度に行うと押し売りに捉えられてしまうため注意が必要です。必ず、お客様の嗜好・ニーズに目星をつけた上でご提案するようにしましょう。

また、単価を追うことに集中し過ぎると、他のお客様との接点を作れずにチャンスを逃すことにもなり得るため、単価を上げるための接客をしながらも気を配ることが重要です。特に商戦期では、接客でのお客様反応や結果をスタッフ全員で共有し、成功例を横展開していくことで、店舗売上のアップにつながることが期待できます。



 ❒ 特定商品を購入しようとするお客様に、追加商品をおすすめできていますか?

① 店頭キャンペーンを実施する
「店内キャンペーン対象商品○点以上お買い上げでX割引!」など、セット販売を直接的に謳ったキャンペーンは、接客時も話しやすい要素であり、訴求しやすい方法です。
店内キャンペーン商品に新商品や売れ筋は含まず、どちらかというと店舗で動きの少ない商品を対象に実施することで店内在庫を動かしていく施策ですが、注意点としては「過度に打ち過ぎると危険」です。安売りの店というイメージが付いてしまう可能性や、そうしたキャンペーンの時だけ買物に来るお客様が増えてしまうと、通常時の売上との差が大きくなってしまい、通常時の店舗運営が苦しくなります(=買ってくれなくなる)。タイムセールや曜日を設定した上で実施し、そのキャンペーン実施前との売上推移や来店客数を比較し、キャンペーンを検証しながら展開することが肝心です。

② 関連商品のおすすめ
今やECサイトでは普通に見かけるこの方法。過去の売上実績から、セット買入の内容を精査し、その代表例のいくつかを推奨する、いわゆる「レコメンド」です。
ここは、店舗の地の利を生かしましょう。当該商品とその関連商品をディスプレイすれば、目の前がショールームになります。しかも手に取ることができる―――ECよりもさらに購買意欲を高める効果的な方法です。

③ レジ前小物を奨める
コロナ禍によって変化した店内のお客様行動のひとつ―――それは、レジ前行列です。どの店舗でも、レジ前行列は誘導線やステッカーなどで定義され、規律良くレジに並ぶ方法がほぼ確立されたと言ってもいいでしょう。
そこで再度見直したいのが、レジ前棚での商品訴求です。いわゆる「ついで買い」を促すものですが、ここである程度金額のする商品を訴求しても、お客様は会計直前=購買欲はほぼ満たされています、買ってくれません。会計前の「店内のスキマ時間」にそっとアピールするには、低単価・かさばらない商品(すぐ持てるのでそのまま会計に向かうことができる)、がポイントです。

④ 具体的な金額を提案する
「セットで15%OFF!と言われても、いくらになるんだろう?わからないよ…」というお客様の悩みに、皆様は応えていますか?
もし、セット商品が予め組まれていた場合、その割引前・割引後の価格が提示されていたら…お客様にとって非常に便利ですし、お財布と相談できますよね。セット商品の組み合わせを組成することで、それらを店頭POPなどで訴求すれば、お客様は迷うことなく購買検討に入ることができます。

⑤ 店内バッグをお渡しする、商品を預かる
購買意欲を高めるために、お客様への特別感・優越感・心地良さを生み出す手法のひとつです。お客様に店内で身軽になってもらい、お買物を楽しんでいただくわけです。
この場合、お客様にどのタイミングでお声がけするか?が大事になります。すべての来店客に勧めるのはあまり効率的ではありません。たとえば商品を手に取って歩こうとしたお客様、複数の商品棚を交互に注視しているお客様など、お客様の動き出しに注目してください。商戦期などで店内が忙しい時は、エントランスだけでなく数か所に店内バッグを置いておくと良いでしょうし、その減り具合でお客様の動線も類推することができます。

▶︎実施する際の注意ポイント!

上記①~⑤はすべて「クロスセル」と呼ばれるものですが、こちらも前述アップセルと同様、点数を追うことに集中し過ぎると、他のお客様との接点を作れずにチャンスを逃すことになり得るため、点数を上げるための接客をしながらも他のお客様にも気を配ることが重要です。
また、1点のみの購入検討、同系統を複数検討、関連商品含めて検討、などなど、お客様のタイプを何通りか予め想定し、それぞれの接客トークの流れをマニュアル化することも得策です。業種・店舗状況・お客様層などによってまちまちですが、成功例が見えてきた際はスタッフで共有し、開店前/閉店後などで簡単にロールプレイングを行うと良いと思います。


5. 結果から次のステップに繋げよう!

今回ご紹介したように、客単価が下がった場合「平均商品単価」を上げるためのアップセルや、平均購買件数」を上げるためのクロスセルは有効です。

しかし肝心なのは、それら施策を実施した前後の効果検証です。

施策実施前と実施時それぞれにおいて、上記2つのKPIを比較し、取り組み内容が結果に結びついているか検証することではじめて、その施策の有効性が確認できます。これは本社が全体的に行うことは勿論ですが、エリア担当ごとや店舗ごとでも行うべきものであり、それらの成否を共有・展開することが重要です。


【KPIレシピシリーズ】

・「購買率」「滞在時間」が下がったら…確認すべきポイント
・「売上」「購買率」が下がったら…確認すべきポイント
・「平均商品単価」「客単価」「平均買上点数」が下がったら…確認すべきポイント
【KPIを自動配信できる?!】
・【店舗データ利活用】データに基づいたリアルタイムな行動提案が店舗を変える

 

プラットフォームFlowは、店舗の来店客数や来店属性などの人流データ、POSやシフトなどの既存データ、天気や店舗情報などの環境データをひとつのプラットフォームにリアルタイム統合し、可視化。検証しやすく扱いやすい店舗データが取得でき、「店舗がわかる」「次の一手がわかる」ようになります。
これまで日本トイザらス様やベイクルーズ・グループ様、ライトオン様、デイトナ・インターナショナル様など、多店舗展開している小売業の多くがFlowを採用し、売上向上にお役立ていただいています。

プラットフォームFlow「わかる」こと
 ◎ 人流・POSなど、リアルタイムな店舗データを取得・統合。⇒店舗の今がすぐわかる
 ◎ 定量データで効果測定。⇒店舗活動のbefore/afterがすぐわかる
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■ Flow Solutions 会社概要
 

株式会社Flow Solutionsは、2016年にデータ活用プラットフォームの提供を開始し、アパレルや雑貨店、家電量販店など、これまで100社以上・900店舗以上へのシステム導入と3,000以上のセンサー接続実績があります。リテールデータ活用AIプラットフォームFlowは、IoTによる人流計測データや既存データとの連携によって店舗状況を可視化し、AI技術を用いた多次元なデータ分析を可能にします。店舗データの活用によって売上改善や業務効率化に効果を発揮するソリューション・ベンダーとして、小売業の課題解決にあらゆるソリューションを提供しています。

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