小売経営者からよく聞かれる質問に、「データ分析を成功させる最善策は何ですか?」「売上改善に効果のある分析ツールは何ですか?」というものがあります。今回は、そのご質問にお答えしながら、なぜ私たちFlow Solutionsが、数ある店舗の重要評価指標(KPI)の中から「来店数」と「購買率」に焦点を当ててデータ活用を推進しているのかについてもご紹介したいと思います。
目次
データ分析を成功させるために必要な5つのこと
データは資産、持つことがスタートライン
データ分析を成功させるために必要な5つのこと
「データ分析を成功させるために必要なこと」として、私はいつも以下5つを挙げてご説明しています。
1.店舗の評価指標を活用することに、経営者レベルのスポンサーシップまたはオーナーシップがあること
たとえば、新たに設置されたソリューションの担当部署がDX推進の旗振り役を担っていたとしても、経営者レベルが真に理解していないと、プロジェクトは中断されてしまう恐れがあります。経営者の強いコミットが必要です。
2.店舗レベルのデータ利用者が、データから得た洞察に基づき行動し、変化を起こすための権限を持っていること
本部からの指示を待つ受け身の姿勢ではなく、現場スタッフ自身がリアルの状況に対応できるようになることが重要です。これにより、データを基にした意思決定スピードが飛躍的に向上します。私たちがご提供するソフトウェア「Flow」は、ユーザーアカウント数無制限であり、本部または店舗の権限によりレポート閲覧の選択が可能です。▶️店舗分析がより簡単になる〈Flow〉
3.実態を理解し、改善するための指標として「来店数」と「購買率」に集中すること
売上だけを最重要指標としている企業はご注意ください。売上はあくまで結果であり、そのプロセスである店舗パフォーマンスに目を向けることで、大きく改善の糸口が見つかることがあります。
特に「来店数」は店舗価値を評価する最も基本的な指標であり、「購買率」は来店者を顧客に転換する力を示します。
▶️国内ファッション企業の成功事例
4.来店数と購買率に関する考察を、会社全体で共有すること
分析レポートを一部の関係者のみが理解していては不十分です。組織全体が同じ指標で現状を把握し、データを起点に行動できる体制を整えることが、データドリブン経営への第一歩です。
5.「購買率の最適化」は、単発の企画ではなく継続的なプロセスとして捉える
「一度試すだけ」では、プロジェクトが終わったあとに“手間がかかっただけ”という印象で終わってしまう可能性があります。新たなアプローチや考え方が企業文化として根付くまで、粘り強く取り組むことが求められます
データは資産、持つことがスタートライン
経営学者ピーター・ドラッカーが述べたとされる「測定できないものは管理できない (you can't manage what you can't measure)」という言葉をご存知でしょうか?
(※1 補足すると、ドラッカーは必ずしも「すべてを測定すべき」と考えていたわけではありません。会話や協働といった定性的な側面の重要性も認めています。一方で、組織の有効性を高めるためには、結果やパフォーマンスの測定は欠かせないと『マネジメント』の中で述べています。)
私自身は、この考えが全てではないにせよ、組織の有効性向上にとって極めて重要な視点だと考えています。なぜなら、測定によって管理が容易になり、改善への道筋が明確になるからです。
特に現代の小売業界では、この考え方はますます重要です。
たとえばアパレル業界では、来店客のうち実際に購入に至るのはわずか数%といわれています。この「購買率」を1%改善するだけで、売上は平均5〜10%も向上します。
購買率の改善は非常に高いROIを生みます。つまり、来店数を正確に把握できる計測システムへの投資は、決して高額すぎるものではないのです。
下記のファネル図にあるように、店舗のパフォーマンス指標(KPI)は段階ごとに計測が可能です。
貴社の店舗は、こうしたデータを精緻に取得・分析できていますか?
今注目されているCX(顧客体験)やロイヤリティプログラム、SNS、モバイルアプリといった華やかな施策を優先する企業の姿勢も理解できます。それらは「分かりやすく目立つ」取り組みであるからです。
しかし、リアル店舗において「来店数」と「購買率」を把握・分析することは、売場改善やマーケティング施策の効果測定において、非常に多くの洞察が得られる極めて重要なプロセスです。
これは、絶対に無視できない事実です。
以上のように、リアル店舗ビジネスの基盤となる「来店数」と「購買率」は、最優先で精緻に計測すべき重要指標です。まずはこの基盤を整え、その上で他のデジタル施策に取り組むことで、施策全体の効果が何倍にも高まるでしょう。▶️来店計測ツールをご紹介します
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参考:
※1 DRUCKER INSTITUTE/Measurement Myopia
■ Flow Solutions 会社概要
株式会社Flow Solutionsは、来店カウンターの導入支援や、リテールデータ活用AIプラットフォーム「Flow」を提供し、90ブランド・900店舗以上での導入実績を誇ります。IoTとAIを活用し、店舗状況の可視化を実現するとともに、売上向上や業務効率化を支援するソリューションを提供しています。