売上と購買率の低下を改善するため、まずは売上と購買率のパフォーマンスをしっかりと把握し確認することが必要です。売上は簡単に把握できますが、購買率を計算するには来店客数を取得していることが必須になります。来店客数を正確に計測することで購買率向上のヒントを得られます。購買率が低い場合、陳列や試着室、サンプル品、モデル展示などの改善策を検討し、お客様の購買意欲を高めましょう。施策の結果を確認し、さらなる改善点を見つけて店舗スタッフの成長と売上向上を図ります。
「売上」「購買率」が下がったら…という今回のテーマ。
まずは、これら2つのKPIの状況をチェックする必要があります。
「売上」は、多くの小売店舗はPOSレジを導入されていると思いますので、簡単に確認できますよね。でも「購買率」はどうでしょうか?
購買率=購買件数(購買人数)÷来店客数
この計算式に基づくと、POSデータで「購買件数」は把握できますが、「来店客数」は把握できません。来店客数をセンサー/カメラで自動計測していればそのデータを利用できますが、そうでない企業様は、店舗スタッフの肌感覚・経験知で代用せざるを得ません。
「売上の増減が重要なんだから、購買率の計算は...ざっくりで良いか」
…そう思っていたら、実は間違いです。
どの小売業においても売上は至上命題であり、売上を上げるために売上構成要素のどこに問題があるのかを判別しないといけません。かといって、単に以下の計算式だけで判断しても、売上は決してついてきません。
売上=購買件数(購買人数)x客単価
売上を増やすために、購買件数を増やす、客単価を上げる…実現できるのであれば、苦労はないのですが、ここがなかなかどう施策を当て込めるかが難しいのです。
では、どうするのか?売上の構成要素を因数分解して、より細かい要素を注視することです。
先程挙げた「購買率」は、購買件数の母体となる「来店客数」との割り算で算出される値です。この数値が低ければ、来店客数の多さの割に購買件数が少ないことになり、効率良い販売ができていないことを示します。
この購買率が上がると、結果として購買件数が増えます。つまり「購買率アップ → 購買件数アップ → 売上アップ」です。遠回りに見えるかもしれませんが、急がば回れ―――着実に売上を向上させたいのであれば、無視して通れないKPIであることを、今一度ご確認ください。
(Flowのダッシュボードイメージ画面。)
さて、把握された「購買率」「売上」の数値を評価してみましょう。
・来店されたお客様のうち、何%の方が購入に至ったか?を表す「購買率」
↓
店頭での商品展示や陳列でその魅力を伝えることができている、商品の利用シーンや細かな説明などを接客によってカバーできているなど、お客様の購買意欲を後押しする行動が結果となって表れる指標、といえます。
・最終的なゴール「売上」
↓
言うまでもなく、小売業で最重要な指標(KGI/重要目標達成指標)です。前述の通り、売上をアップさせるためには、その構成要素をなるべく分解した上で、それぞれの要素を改善する取り組みを志向することが得策です。
過去実績と比較して、これら2つのKPI値が上がっていれば、良い傾向にあります。その勢いを継続させることを目指しましょう。
では「売上が下がっている」「購買率が低い」などの場合はどうでしょうか?確認すべきポイントと対策を見ていきましょう。
売上・購買率の低迷時に確認すべきポイントは、次の3点が取り組みやすいと思います。ポイントに沿って店舗状況を確認し、できている場合は☑してください。
お客様が貴社のお店に来店する目的は、いったいなんでしょうか?
ほとんどの場合「商品を購入する」「商品を見る」「商品を知る」ために来店されているはずです。ということは、店頭で商品をしっかりプレゼンできていなければ、お客様の購入を期待することは難しいと言わざるを得ません。
商品の「ディスプレイ=視覚に訴える」、「試着室/サンプル品=体験してもらう」、「モデル展示/デモ販売=想像してもらう」は、購買率に大きく影響します。お客様の感性に訴えることで、はじめは商品知識がない状態であっても商品への興味を持っていただく可能性を拡げることができるのです。
そして興味を持つと、その商品について知りたくなるもの。価格、品質/性能、利用シーン、サイズ、色種類、効果/効能…それらを総合的に判断し、お客様は購入を決定します。
基本的なお話ではありますが、お客様の行動を考えて、店頭での商品展開を意識すべきです。
前述の3つの確認ポイントができていない場合は、改善しましょう。以下を参考にしてみてください。
つい接客に気を取られて、商品をきれいに並べることを忘れてしまう、人が足りなくてそこまで手が回らない、ということは、店舗ではよくあるお話です。
しかし、お客様が来店した目的=「商品」が乱雑に置かれていては、その価値を感じられなかったり、ブランドイメージを悪化させてしまいかねません。しいては、手にとってさえもらえないでしょう。商品を大切に、きれいに展示するよう日々指導するべきです。
主にアパレル業でよく見かける試着室―――とてもホットなスポットです。一説では、その利用によって70%弱が購入に繋がる*1 といわれています。
弊社お客様の事例でも、試着室を利用しない場合の購買率が平均10%に対し、利用した場合の購買率は平均65%…つまり、試着されたお客様のうち半分以上が購入されるというのです!
試着室にかぎらず、姿見・鏡の利用促進、肩に当ててのフィッティングなど、できるかぎりの策を講じるべきです。
サンプル品も同様で、実際の商品を店頭でお試しいただく機会を創出することで、接客のきっかけづくりになります。なにより、実際に商品を手に取って試す様子は、お客様にとってのその印象の良し悪し加減を掴むこともできますよね。
いずれにしても、お客様が手にとったアイテムから、好みやライフスタイルを類推し、お客様の身なりやお手持ち品、接客トークで広がるお客様の嗜好などをふまえ、そのアイテムとの組み合わせや生活への取り込み例を提案し、より商品に関する想像を膨らませてみましょう。
ちなみに、提案する時は、商品カテゴリー1種類につき3点くらいまでが無難です。多過ぎると押し売り感が強くなりますし、少な過ぎると物足りなさを感じる可能性があります。どれにしようかな〜?というくらいの選択肢を作ることがポイントです。
「試着室/サンプル品」は、商品を実際にお試しいただく機会を作り出すことですが、「モデル展示/デモ販売」は、商品を実際に利用する様をイベント化することです。
細かな雑貨、日用品、消費財、食品など、サンプル展示するには数量的に厳しいもの、管理が難しいものがあると思います。かといって、それら商品の魅力をお客様に最大限に提示する方法は、やはり「百聞は一見に如かず」です。
店頭や店内で目立つ位置に特設コーナーを設け、定期的に、商品のデモを行えば、商品の利用シーンや機能、効果の紹介を一気に訴求できます。
正直、「そんなことやる暇なんかない!」「面倒!」というご意見もあると思います。実際、その準備は少々手間も掛かると思います。しかしこの取り組みは、様々な副産物も生むのです。
① 定期的に時間を区切ってデモ販売を行う際、想定されるお客様層に応じてトーク内容を変えてみる
→ お客様反応の収集、その後の売上実績の変化を注視
② イベントを店頭で訴求することで、イベント前の集客ネタとして活用できる
→ お客様の来店状況(集客)、その後の売上実績の変化を注視
③ デモ販売を繰り返す
→ 店舗スタッフの商品知識・セールストーク・要点を絞った接客姿勢の育成・実践
&
お客様反応の収集、トーク内容の検討~実行~レビュー~改善、店頭ディスプレイの参考に
リアル店舗の最大の利点は、お客様の五感に直接的に訴えることができる=顧客体験を豊かにすることができる、にあります。これは、ECでは決して成し得ません。いわゆるライヴ感を重視した取り組みは、お客様の購買意欲を高めることが大いに期待できるのです。
改善策を実行したら、その前後の変化を確認しましょう。施策効果を捉え、さらなる改善点を掘っていくことで、よりピンポイントな改善ポイントが可視化されていきます。また、そうした経験値が、確実に店舗スタッフを成長させていくでしょう。
購買率を伸ばすために気をつけたいポイントは?
今回ご紹介した「売上」「購買率」に注目し、データと実際の行動を検証し、改善アクションへ繋げていく、この道筋を大きく後押しするのが、プラットフォームFlowです。
プラットフォームFlowは、店舗の人流データ(来店客数、店前通行量、来客属性など)や既存データ(POS、シフトなど)、環境データ(天気、店舗属性など)をひとつのプラットフォームにリアルタイム統合し分析します。店舗パフォーマンスが可視化され、今、店舗が取るべき行動をビジュアルでわかりやすく画面表示します。
これまで日本トイザらス様やベイクルーズ・グループ様、ライトオン様、デイトナ・インターナショナル様など、多店舗展開している小売業の多くがFlowを採用し、売上向上にお役立ていただいています。ぜひお問い合わせ下さい。
参考*1 Bob Phibbs The Retail Doctor「Retail Fitting Rooms: How to Use Yours to Fight Online Retailers」
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