店舗の売上を改善するためには、本社と店舗のコミュニケーションが円滑であることが欠かせません。しかし、メールや電話、訪問を通じた情報共有が活発であっても、それが必ずしも効果的な「コミュニケーション」とは限りません。
本社と店舗の間で、情報や指示が正確に伝わり、意図が共有されて初めて、売上改善や業務効率化の効果が得られます。正確な情報の伝達には、情報データの一元化が重要な役割を果たします。
本記事では、実際にありがちなコミュニケーションエラーの例を挙げつつ、問題解決のためのフレームワーク「空・雨・傘」を用いた方法をご紹介します。
具体的な事例と実践的な解決策を通じて、本社と店舗間の連携を強化し、店舗運営の質を高めるヒントをお届けします。
・本社と店舗間のコミュニケーションがうまくいかない理由
・「空・雨・傘」のフレームワークで問題を解決する
・データに基づくコミュニケーションの重要性
本社と店舗間のコミュニケーションがうまくいかない理由
「毎日メールを送っていますし、日報も読んでいます。本社の担当者も定期的に店舗を訪問し、意見交換しています。だからコミュニケーションは問題ないはずです。」
こう考えている方は多いでしょう。しかし、これらのやり取りが「伝える」だけで終わり、「通じ合う」ことに欠けている場合、真のコミュニケーションとは言えないのではないでしょうか。
例えば、以下のようなケースを考えてみます。
ケーススタディ:指示の意図が伝わらない例
本社から、次のようなメールが店舗に送られました。
本社:
『ディスプレイしているシャツの色を赤に変更してください。』
この指示の背景には、「いくつかの店舗で来店率が低下している。目立つ色で通行人の注意を引きたい」という意図がありました。しかし、その意図がメールでは明確に伝えられていませんでした。
結果、店舗の店長は次のように解釈しました。
店長:
『赤色が新たな訴求カラーになったのだろう。在庫を増やしておく必要がある。』
この誤解により、赤い商品の在庫を大量に発注するという行動に繋がりました。その後、本社と店舗の間で認識のズレが発覚しましたが、これは適切なコミュニケーションが行われていなかったことが原因です。
では、どのようにすれば良いのでしょうか?
「空・雨・傘」のフレームワークで問題を解決する
このような問題を防ぐために活用できるのが、「空・雨・傘」のフレームワークです。コンサルティングファームであるマッキンゼー社が、問題解決のためのフレームワークとして広め、活用されているコミュニケーション手法です。
この手法では、状況(空)を把握し、解釈(雨)を共有し、行動(傘)を導き出すプロセスを明確にします。
コミュニケーション手法「空・雨・傘」
空: 空が黒い雲でいっぱいだ という状況
雨: これから雨が降りそうだ という解釈
傘: 傘を持って出かけよう という解決のための行動
空という状況を見て、これから雨という解釈をし、傘を持つという行動をする、というシンプルなものですが、至ってロジカルです。しかし、私たちの日常的なコミュニケーションでは、これが実践できていないことが多いものです。
前述の例を、このフレームワークに当てはめて考えてみましょう。本社は、次のように考えていました。
空: いくつかの店舗の来店率が最近下がっている という状況
雨: お客様に店が魅力的に見えていないのでは無いか という解釈
傘: ディスプレイを目立たせて通行人の注目を惹こう という行動
本社が、この3つの思考工程をすべて店長と共有していれば、店長が誤った解釈と行動(赤が訴求カラーだと解釈し、赤色の在庫を増やす行動を採った)をせずに済んだはずです。
特にビジネスの局面においては、上記の「空・雨・傘」の思考工程を意識したコミュニケーションが極めて重要である、ということが言えるでしょう。
データに基づくコミュニケーションの重要性
店舗運営において、「空・雨・傘」のロジックを適切に用いるためには、データの活用が欠かせません。
データによって状況を正確に把握し、その上で解釈と行動を共有することで、意思決定がスムーズになり、店舗全体のパフォーマンスが向上します。
■ Flow Solutions 会社概要 株式会社Flow Solutionsは、来店カウンターの導入支援や、リテールデータ活用AIプラットフォーム「Flow」を提供し、90ブランド・900店舗以上での導入実績を誇ります。IoTとAIを活用し、店舗状況の可視化を実現するとともに、売上向上や業務効率化を支援するソリューションを提供しています。