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オフィスと店舗のデータ活用 そこにいればバリューやパーパスが浸透していく。そんな空間ができるまで(Vol.1)

作成者: Flow Solutions|2023/12/22 2:26:02

渋谷道玄坂にあるフレキシブルオフィス、The Place Shibuya にて行われた、今回の対談。 【TSUMUGI】をコンセプトとして作られたこの場所からは、様々な人の繋がりが生まれている。
個室のレンタルオフィスだけでなく、広いイベントスペース(最大 50 席)では定期的にイベントが行われており、 まさに、ハイブリット以降の新しい働き方が体現されているこの場所で、 オフィスのあり方、店舗のあり方のイマをお聞きした。 構成:竹口忍、阿部

柳沢 (The Place について)本当にアクセスが良くて、1 階にコンビニエンスストアがあったり、人気の飲食店も近くにたくさんありますね。
この空間だけでなく、立地も含めて、働く環境として、とても心地が良いなと感じました。
インテリアも素敵なものが多いですし、一つひとつにストーリーがある。
これだけの場所が、どのような生まれ、活用されているのか、背景も含めて、本日はお聞きできればと思います。

戸田 ありがとうございます。
実は、2019 年頃からコロナウイルスの流行があり、オフィス不要説も含めて、働く環境について、たくさんの意見がありました。
多くの方が週の大半、会社のオフィスに出社してお仕事をするというスタイルから、自宅を少しずつ「働く場所」に変えていったり、日によって様々なスペースを利用したり。そのときによって、場所を選ぶ。そんな考え方が増えていきました。
「場所中心」から「個人中心」に変わってきたといえるかもしれません。

柳沢 その変化によって、良かったことはたくさんあったんだろうなと思います。
例えば、いつも同じ場所で、同じメンバーと顔を合わせていたときよりも、仕事につながるような発見もあるでしょうし、環境というのは、働く上で、とても大きな要素になっているという実感がありました。
ただ、オフィスに対する社員の考え方と、会社という組織の視点に立った場合では多少違いもあるような気がします。

戸田 そうですね。最近は、いくつかの大手企業がフル出社に切り替えたり、また違った取り組みも始まっていますが、まだ方向性が定まりきらない転換期ともいえます。そのため、企業として目指すビジョンをどうやって伝え続けていくかであったり、ブランディング、生産性など、いくつかのキーワードについてクライアントの皆さまも検討を重ねています。
ケースによってはワークショップも実施し、そこで集まった定性的なデータに、定量的なデータを加えて、検証した結果をもとに働く環境を変えていくという、いわゆる働き方改革が今も行われています。

 

柳沢 弊社のお客様には小売業の方が多いのですが、今お聞きした内容はそのまま当てはまると思います。
都市部ではお客様の流れが戻ってきていると言われているものの、まだまだ、ビフォーコロナと比較すると 100% に届かない。
そんな状況で、本社と拠点、各店舗の意志疎通をどうやって深めていくか、改善していくかというのは、大きな課題です。
そこで、定性データに加えて、客観的に確認・判断するための定量データの必要性を感じることが多くなっているのではないかと。
データを収集して可視化して、それをもとにコミュニケーションをしたいという要望は、確実に増えています。
小売業の特徴として、お客様と接客をするスタッフという2つの軸があることは確かで、さらに多拠点、多店舗となると視点を変えながら検証することが必要になりますが、その際は定性データと定量データの両輪が必要になるというイメージです。

戸田 たしかに、そうかもしれませんね。私は小売業については、そこまで明るくないのですが、意志疎通という意味でお話しますと、オフィスは、出社した時に企業のミッションやバリュー、パーパスなどがデザインの力で浸透できる場所であるといいなと考えています。
どうしても、一人ひとりのモチベーションには波が出てしまうものですが、エンゲージメントをどれだけ高い状態で保つかにおいては、定性的な目標・KPI も、もちろん大切ですし、例えば、その会社の代表の想いがどれだけ浸透しているかも、同じように重要だと。
気持ちの部分は、なかなか計測しずらい領域ではありましたが、最近では、eNPS(Employee Net Promoter Score/エンプロイー・ネット・プロモーター・スコア。どれだけ自社を他人に勧めたいかの指標)を取りたいという声も多く聞きます。
そして、「今の状態」を知るために、例えば、業界別の平均値に対して、どれだけ差があるのかなどのご質問もいただいています。

柳沢 定性データをいかに見える化していくかという話にも繋がっていきそうですが、そのためのデータ分析について教えてください。
どの企業もそうですが、最初にデータを取得し始めた頃は、比較データが社内になく、他社の事例があっても自社と状況が全く一緒ではないため、そのまま比較材料として活用できない場合も多いと思うのですが、そういった時期は、なにを基準に良し悪しを判断するとよいのでしょうか。

戸田 おっしゃる通り、そういった過去のデータがまだ蓄積されていない時期というのは存在します。
そのため、まずは自社のデータを取得するためにコンサルティングから開始することもあります。
例えば出社率、滞在率、エリア別の使用率をヒートマップにしたものなど、取得可能なデータをまずは可視化し、オフィスとして適切に使われているかを確認する。無駄なスペースにコストをかけるのはもったいないですし、活用できる空間に対してはさらに最適化できるように、ご提案させていただいています。

柳沢 データを確認する頻度は、どれくらいでしょうか。

戸田 オフィスの場合は、短期的に見る場合でも前後 3 ヶ月、長期的にみる場合は 1 年単位で更新していきます。
また、過去のデータや基準というお話の延長でいえば、テレワークが多くなってからの変化として、オフィス以外で仕事することによって「サボっていると思われてないかな」という不安や心理的ストレス、自宅の光熱費・デスクやチェアなどの設備など、社員の皆さまが感じる負担というのもありますよね。
そういったなかで、パフォーマンスを最大化するためにはどうすればよいかと考えていくと、他社との比較をするよりも、例えば、自社の福利厚生を見直すなど、さまざまなベネフィットの検討を続けていく必要があるのかもしれません。

柳沢 たしかに、環境面の改善といっても、いろいろな角度からみていかないと、最適解は出てこないのでしょうね。
オフィスのことを考えながら生まれてくる、そういった気づきも、とても大事なことなんだなと再認識しました。
なかなか自社だけだと気づけないこともあると思うのですが、並走期間というのはどれくらになるのでしょうか。
とくに、データを取得しはじめて、その後、企業のご担当者がある程度、自走していくまでにはどれくらいの時間が必要でしょうか。

戸田 ケースによるかもしれません。ご担当者が途中で変わることもありますし。
そのオフィスがどのような目的でどのように設計されていて、どのようなデータがあるのか確認しながら進めていきますので、そのための時間は必要になりますが、なるべくスムーズに進められるよう努めています。

柳沢 弊社のサービス、Flow もご担当者が変わることがあったり、データ活用の方法や流れを、店舗であれば、店長から店舗の皆さまに広げていく活動が必要になるため、浸透、定着させることの難しさを感じることがあります。

戸田 どこまで求められるかによっても変わりますが、私たちの場合は 1 社ごとにプロジェクトマネジメントの担当者が配置されます。
現状の課題に対して、壁打ちをしながらなるべく自走していただけるように進めていきますが、何かあれば、担当者がすぐフォローできるようにしています。

柳沢 そういった安心感は本当に必要だと思います。
この後は、さらにヴィス様とフローソリューションズの活動の共通点について深掘りさせてください。

Vol.2 へ続く