小売店舗の業務効率化
スタッフシフト組みの悩みを解決できる?

近年、日本の国内労働生産は他の先進国と比較して低いと言われています。
時間あたりの労働生産性が米国の6割弱*1 に相当しているというのです。
その背景には、超過勤務を含む労働時間の長さや、アナログな業務管理方法などが挙げられ、厚生労働省の「労働生産性の向上に向けた我が国の現状と課題」*2では、自己啓発や教育などの能力開発や、情報化資産への投資が必要だとしています。
店舗業務は、来客の状況にあわせながら複数業務をこなす必要があり、そのような時間的/身体的負荷があるなかでも、売上という結果に結びつける必要があります。目標としている売上が達成できない場合は、モチベーションの低下や結果として離職につながる場合もあります。
このような従業員業務は、「店舗データ」を使うことで店舗の現状が見える化し、優先すべき作業が把握できるため、従業員環境の改善を図ることができます。
店舗にある「お客様の行動データ」として来店客数の計測や属性、POSデータ、そして気候のデータなどを活用することで、従業員の働きやすさにどのような影響があるのか、例を挙げてご紹介しましょう。
目次
- 時間の節約
- レジまわり作業の効率化
- 販売業務や在庫管理業務などの効率が向上
- 天候に応じた売り場づくり
- 従業員のモチベーション向上
- 従業員のシフト調整
まとめ
1.時間の節約
POSレジの普及だけでなくPOSシステムを導入する企業が増えていることにより、簡単にPOSデータから、売れ筋商品や時間帯別の売上高などが分かるようになっています。
自動的に算出された数値から、時間帯ごとの在庫量を決定したり、従業員のシフト調整を行うことができるため、無駄に在庫管理に追われることなく最適な在庫管理ができるようになります。
その分の時間を、他に必要な業務、例えば接客やVMDの戦略などに時間を費やすことができます。
1日の売上報告などはどうでしょうか?
多くの小売企業様から、情報の収集と報告書作成に時間が取られているというお話を伺います。そのような場合、自動的に算出された店舗データを一元管理できるツールを使うことで、報告書作業時間をさらに減らすことができます。

2.レジまわり作業の効率化
来店客数や売上高について、時間帯ごとの数値を計測できるようになったことで、レジ作業を効率的に行えるようになっています。
例えば、時間帯によって特定の商品がよく売れることが分かっている場合、その商品の陳列を人が多く通る位置に変えたり、レジ付近に持ってくるなど、売上向上のための施策が考えられます。
レジ待ちのために長蛇の列ができる場合は、買い逃しを防ぐために、お客様ひとりひとりのレジ滞在時間データをみることで、レジの回転を確認し、平均時間以下であれば従業員の数を調整するなど、ムダを省くことができます。
3.販売業務や在庫管理業務などの効率が向上
POSデータや来客数、属性をかけ合わせることにより、特定の日や時間帯に来店するお客様の傾向を把握できるようになります。そのようなデータがあると、来店客の属性に応じた嗜好やニーズを前提に接客を行うことができますし、属性の特徴により売れる商品の傾向が把握できることで、在庫管理業務が効率的になります。
また、来店客数の多い時間帯を把握することで、商品補充を早めに行ったり、その時間は接客に集中するなど、従業員の業務効率が向上します。
お客様が多く溜まるエリアやタスクに人員を優先的に割り振ることで、業務の無駄を削っていくことができます。

4.天候に応じた売り場づくり
気象データを活用することで、天候によって商品の需要が変動することを事前に予測することができます。たとえば、雨の日にはレインコートや傘がよく売れる傾向があるため、これらの商品を売り場の目立つ場所に配置して、販売促進効果を高めることができます。
天候によって需要が低下する商品については、期間限定で在庫を減らすなどの施策で在庫コストを削減することができます。
5.従業員のモチベーション向上
売上だけでなく、購買率や入店率といった、従業員がお客様に直接関わることで数値を向上に結び付けられる値について、データという客観的な指標を追うことで、各々の成果を可視化できるので、従業員のモチベーションを高めることができます。
データを利用することの意義として、「従業員ひとりひとりが、店舗業務について気づきを持つ」こととも言えるかもしれません。「今この数字ならば、きっとこうなるのではないか?」という傾向値からの仮説が、リアル店舗に居ながらにして考えられるため、例えば、売れ筋商品とのデータがあれば、その商品の魅力を自信を持ってお客様に伝えられるようになります。
本部からの指導や店舗内教育の面でも、漠然と売上だけで評価をするのではなく、店舗のパフォーマンスの数値化(=データの言語化)をすることで、指導に対する従業員ストレスも軽減するでしょう。
データが溜まり、そのデータを繰り返し利用していくことで、最初は不慣れであったとしても分析と仮説にかけるスピードは上がり、スキルのレベルアップに繋がっていきます。
また、従業員ひとりひとりの無駄な動きが少なくなることで、お客様に対しても的確なアプローチができる機会が増えるでしょう。
そういった体験を踏まえて、目標数値の達成に向けたモチベーションの向上に期待がもてます。
「Flowのデータが、現場に『考える力』
をつけさせるキッカケになっています。」
デイトナ・インターナショナル事業企画部 斉藤様
インタビュー記事はこちら

6.従業員のシフト調整
来店客数のデータが溜まってくると、過去の数値からピーク時や閑散時などの時間帯を特定することができるようになります。
その貴重なデータから、来店客数の予測データにあわせたシフト調整を行い、ピーク時にはより多くのスタッフを配置したり閑散時には少なくするなど、スタッフの勤務時間を調整することができます。
特に少子化や人口減少で人手不足が社会問題となっている昨今では、長時間労働はモチベーションの低下を招きますし、そもそも人員を確保することが難しいので、業務の割り振りをする上で、従業員シフトの最適化は近々の課題となっています。
まとめ
今回ご紹介しました、来客数や顧客特性、お天気や売上に関するデータを活用することで、店舗業務の作業時間を効率的に振り分けて、生産性を高める取り組みができるようになります。
そして、客観的なデータによる公平な評価や指導は、従業員のモチベーションを向上させながら目標達成に取り組めるようになるために、従業員が働きやすい環境を整えます。
また、データの利用によって店舗業務を遂行する上での「学び」が生まれ、その学びによって生まれた自信とやりがいが、働きやすい環境を作り、労働生産性の向上へと繋がっていきます。
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