セブン‐イレブンの「売り場レイアウト変更」について考える

お店のレイアウト変更はどのように行われているでしょうか。セブン‐イレブンが店舗の売り場レイアウト変更を40年ぶりに行うとの記事が出ていました。セブンーイレブンは、昔から「個店対応」を推し進めており、チェーンストアではあるものの、各店舗の立地商圏客層に合わせた品揃えをかなり深く追求してきたコンビニチェーンであると思います。


セブン‐イレブンが40年ぶりに店舗の売り場レイアウトを変更することをうけてこれまでの戦略や変更内容について紹介していきます。
売り場レイアウト変更の主な目的は、雑誌の売上減少や女性客の増加など市場変化に対応するため。具体的には、レジカウンターの移動や拡大、商品配置の変更、雑誌売り場の移動、冷凍ケースの配置変更、イートインコーナーの拡充などです。セブン‐イレブンは売上増加と競合他社からの売上奪取を目指しこのレイアウト変更は約2万店の展開とフランチャイズ展開を考慮し、慎重な分析と検証が不可欠であり、店舗運営者と担当者に店内分析と戦略の重要性を強調していました。

今回は、店舗での売り場レイアウト変更について取り上げます。

少し前の新聞記事になりますが、セブン‐イレブンが店舗の売り場レイアウト変更を40年ぶりに行うとの記事が出ていました。
(本記事は、4月のセブン&アイ・ホールディングスの決算発表会での報告内容がもとになっています)

セブン‐イレブンの今までの戦略

確かに今まで、セブン‐イレブンの第1号店(豊洲店開店:1974年5月)の開店以来、大きなレイアウト変更はありませんでした。

セブン‐イレブンは既に全国に19,500店を超える店舗を出店していますが、駅中のKIOSK型店舗や狭小店舗などの特殊立地を除き、いわゆる標準店舗では、基本的に同じ店内レイアウトを踏襲してきました。

店舗 変わる 特徴

実は投稿者は、セブン‐イレブンでの勤務経験があり、OFC(店舗指導員:スーパーバイザー)としての経験もありますが、昔から店舗のファサード側には、太陽の日差しを受けるところでもあり、雑誌や雑貨系という定位置が確保されていました。

レジカウンターも入り口からは垂直に設置されていました。(タバコ販売免許がまだ多くの店舗におりない頃は店内に入らなくても買えるタバコ専売の窓口が必要という関係もありましたが)

セブン‐イレブンは、昔から「個店対応」を推し進めており、チェーンストアではあるものの、各店舗の立地商圏客層に合わせた品揃えをかなり深く追求してきたコンビニチェーンであると思います。
そのため、商品の品揃えは同じ地域にあっても、その立地特性に合わせて細かく異なるのはもちろんのこと、陳列場所も大きなくくりである程度の統一性はあるものの、個々の陳列位置は店舗ごとに「個店対応」してきまいた。

その後、弁当ケースの拡充や平置きアイスケースの導入などで、小さなレイアウト変更は継続して行われてきましたが、今回の発表では、大幅なレイアウト変更が行われています。

 レイアウトの整った店内で買い物をする女性

売り場レイアウト変更の要因は?

これには、雑誌に代表されるように店頭で売れる商材の変化があること、また、利用されるお客様層が変わり、買い方、利用の仕方が変わってきたことが大きく影響しています。

その昔、雑誌の売上は売上の25%をも占めていましたが、今は数パーセント台です。店頭ファサードに展開してきた売り場面積はその売上に見合わなくなってきています。

また、主婦の方もが、コンビニをスーパーのようにご利用になることがより一般化してきました。これは震災後のコンビニのプレゼンスが高まったためとも言われていますが、確かに震災後にその動きはより顕著にはなりましたが、この動きは自治は年々少しずつ出ていたことであります。背景には人口動態の変化や少子高齢化、共働きの一般化などの社会の変化がこれらの変化をもたらしたと言えると思います。

決算時の報告資料によると、10年前と比較して、女性客比率が42.3%から47.4%と、5.1ポイントも上がり、50歳以上の割合も25.8%から40.0%と14.2ポイントも上がっています。

カウンター周りのコーヒー、揚げ物などの惣菜商品などの拡充など時代の変化に合わせて多くの商品、サービスが投入されてきました。

コーヒーブレイク 

セブン‐イレブンの基本的な経営哲学は「変化への対応」です。小売業は、世の中、お客様の変化に合わせて自らをリモデルしていくことが一番強く求められる業種だと思います。

セブン‐イレブンは、今まで商品軸を中心に、日々の改善を繰り返してきましたが、今回、レジカウンター位置をも移動する店舗レイアウトのリモデルというある意味、大手術に着手しました。

 ディスプレイやレイアウト変更に役立つこちらの資料をご覧ください。新規CTA

 

新たなレイアウトの方策
 
具体的には、以下のような方策が取られています。

  • レジカウンターが、入り口横から入り口から一番遠い店の奥に移動
  • レジカウンターを大幅拡大
  • レジカウンターがあった場所に弁当、おにぎりなどのオープンケースを配置
  • 島ゴンドラの配置を横方向から縦方向へ(スーパーのような並びです)
  • 雑誌売り場を入り口ファサード面から中島へ移動
  • 冷凍ケースを雑誌のあった入り口近くへ移動
  • イートインコーナーの拡充

今回セブン‐イレブンはこのレイアウト変更で日販を3〜4万円引き上げたいと考えているそうです。年間1,000万円以上の売上になりますが、この売上はどこかの競合(同じコンビニ業態とは限りません、食品スーパーや、ドラッグストア、外食産業などなど)から奪い取る売上かもしれません。

熾烈な戦いは科学的なアプローチとその分析と検証から勝ち残ることができます。

セブン‐イレブンは2万店に近い店舗を展開しています。店内のレイアウト変更には莫大なコストがかかりますし、セブン‐イレブンはフランチャイズ展開ですので、1店1店のオーナーさんの生活がかかっていますので、失敗は許されません。

緻密な分析と戦略と、そしてその仮説と検証の繰り返しによってのみ実行への判断が下されます。

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株式会社Flow Solutionsは、2016年にデータ活用プラットフォームの提供を開始し、アパレルや雑貨店、家電量販店など、これまで100社以上・900店舗以上へのシステム導入と3,000以上のセンサー接続実績があります。リテールデータ活用AIプラットフォームFlowは、IoTによる人流計測データや既存データとの連携によって店舗状況を可視化し、AI技術を用いた多次元なデータ分析を可能にします。店舗データの活用によって売上改善や業務効率化に効果を発揮するソリューション・ベンダーとして、小売業の課題解決にあらゆるソリューションを提供しています。

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