スタッフ教育や接客に取り入れたい「質問する」ということ
「質問」は強制的に相手に考えさせる力を持っており、人は他人から押し付けられた意見よりも自分で思いついた意見の方をはるかに大切にする傾向がある。そこで、接客・販売トレーニングや経営陣のマネジメントにおいてもこの手法は効果的で、人を動かすためには、命令ではなく自分で思いつくような問いを与えることが重要であるのです。
人を動かすのに必要なのは、「命令」ではなく「懇願」でもなく「いい質問」をすること。
人をその気にさせ、人を育てるにも的確な「問いかけ」が重要になります。
「人を動かす質問力」「良い質問が人を動かす」の著者である谷村誠氏が、弁護士の経験を元に「問うことのの重要性」を述た今話題の著書ですが、
その内容の中に「質問することが持つ力」を6つに分類し、この力のうち、何を目的にするかを事前に明確にしフォーカスすると、相手を動かす事が出来るというものがあります。
元来、私達日本人は、土地柄により差はあるものの、上下関係を重視する民族である歴史から、相手によって自分の立ち位置を変えながらコミュニケーションを取ります。
「空気を読む」「気を利かせる」「察しが良い」などが美徳とされるのはそれが理由で、日本人同士の会話では、
お互いが相手に合わせようとするコミュニケーション方法が多く取られます。
ですから、「質問する」という状況にあまり慣れておらず、スキルも乏しいと言わざるを得ません。
そこで、「質問する」という1つの手法にフォーカスしトレーニングすることは、従来のコミュニケーション能力を見直し、
新しい関係を構築することに一役買うと言えるでしょう。
谷村氏が述べている「良い質問をすることが持つ6つの力」についてみてみましょう。
1.思いのままに情報を得る
2.人に好かれる
3.人をその気にさせる
4.人を育てる
5.議論に強くなる
6.自分をコントロールする
「質問」は相手に自分の頭で思考するきっかけを与えます。
多くの人が、他人から押し付けられた意見よりも、自分で思いついた意見の方をはるかに大切にする傾向を持っています。
この為、スタッフ販売トレーニングや経営陣のマネジメントにおいてもこの手法は効果的で、
人を動かすためには命令するのではなく、自分で思いつくような問いを与えることが重要であるというのです。
一般的に質問の仕方にはオープンクエスチョンと、クローズドクエスチョンの大きく分けて2パターンがあります。
相手が「はい、いいえ」または「AまたはB」の択一で答えられる様な、回答を限定した質問の仕方をクローズドクエスチョンといい、
これに対し、「どう思うか?」などのように、制約を設けず相手に自由に答えさせる様な質問の仕方をオープンクエスチョンと言います。
クローズドクエスチョンは、相手の考えや事実を明確にしたい場面などで有効とされ、オープンクエスチョンは、相手からより多くの情報を引き出したい場面で有効とされます。
話題を展開させたり思考を深める場合には、この両方をうまく組み合わせていくことが大切であるといえます。
しかし、質問する上で相手に不快な印象を与えてしまう質問もあり、注意が必要です。例えば、次のようなものです。
- ネガティブクエスチョン「どうして売上が伸びてないの?」 など否定的な質問をすることで、相手を追い込んでしまい否定的な考えを強制。
- ノーアンサークエスチョン「何度言ったら改善するのか?」 など、答えを求めているわけではなく、謝らせるために使う質問。
- 相手の答えを即座に否定したり、質問の連打など。
ぜひ「良い質問」を取り入れ、スタッフ教育や接客でコミュニケーション能力を高めていきましょう。