小売ビジネスを運営することは、大変複雑なプロセスです。
店舗のどこを改善すればよいのか、そして、どのように改善するかを決める時に、データなしで意思決定をすることは、その過程をよりを複雑にしてしまいます。
考えてみてください。
出店を考えるときに、その地域の人口を知らずして店舗をオープンすることは、誰もしないはずです。
また、男女比といった詳細なデータを知らずしてオープンすることもないはずです。
次に挙げる「データ使用に関する3つの考察」は、実店舗を抱える小売ビジネスでの大切な意思決定を支える指標である、「キー・パフォーマンス・メトリック」のクオリティ評価に役立つでしょう。
1,モバイル・ワイヤレス技術によるサンプルデータの収集と総人口
ある程度の範囲を視覚的にモニタリングするセンサーに対して、モバイルおよびワイヤレス技術による顧客行動分析は、人間の物理的な動きでなくデバイスからの信号追跡のデータを捉えます。
そのため、Wi-Fiデータ(少数・サンプルデータ)などから計算される購買率は、来店カウントなどに使用されるビデオ解析ツール(すべての顧客動向データ)から計算される購買率とは異なります。
実は、Wi-Fiデータなどから計算されるコンバージョン率や接客率、およびPOSから統合される他のKPIは、正確な人数を知らずして確かな値は求められないのです。
「この正確な人数」は、来店者をカウントするセンサーを通してのみ集めることができます。
来店客数をどの様に計測されていますか?従来のPOSレジのみの計測にとどまっていませんか?最近では、入店カウンターもしくはピープルカウンターとして耳にされる方も多いでしょう。来客数カウンターまたは来店カウンターとも呼ばれるこのシステム。何故、必要なのでしょうか?
一方、来店者をカウントするセンサーは、人々の行動に関するより詳しい情報を収集することはできません。
例えば、
・何%のお客様が30日以内に複数回におよび再来店されているのか?
・何%のお客様が店舗に入らずして通りすぎてしまうのか?
・店舗内のどのゾーンが、特定の時間に混雑しているのか?
などの質問に対して、来店カウンターでは答えを見つけられません。
しかしこの問題は、Wi-Fiなどモバイル技術を駆使したサンプルデータを収集することで解決できます。
そして、そのサンプルデータは、来店者カウント専用機器を用いた店内総人口とのデータ調整を行うことで、精度を最大限に高めることができます。
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店内でのパーソナライズ・マーケティングにどんな期待がもてるのか?店内での”パーソナライズ・マーケティング”は、リアルタイムで BLE(Bluetooth Low Energy )と連動しています。
店内動向分析では、店内滞在時間や、滞留状況をヒートマップで表示します。これにより、お客様の特定場所の測定や動線の計測など店内の動向がデータ化されます。お客様の回遊状況が分かるので、注力商品や販促アイテムを効果的に配置し、お客様の購入機会を増やすことができます!
2,経験的データ vs 統計データ
経験的データは、センサーやデバイスによって実際に捉えられたデータで、その数値の傾向や理論にかかわらず、実測をもとにした"生"のデータです。このデータの質は、使用するシステムソリューションにも依存するので、活用方法次第で有益にも無益にもなり得ます。
統計データとは、経験的に得られたデータから、特別な手法を用いて規則性を見出したデータです。
どちらも重要なデータであり、活用・表示・統合方法次第で大きな価値を生み出します。
3,Descriptive, Predictive, Prescriptive 分析
ビジネスプロセスの革新や分析の専門家であるアメリカ人、トム・ダベンポート氏によると、分析のタイプは多くの場合下記の3タイプに分類されます。
- 過去のデータに基づく現象分析 (Descriptive analysis)
- 過去のデータに基づくモデルを使用する未来予測分析 (Predictive analysis)
- 行動規範分析 (Prescriptive analysis)
ほとんどの小売業で、上記3つ、全ての分析方法を応用することができるでしょう。
現在、実際に起きた現象から状況を分析するDiscriptiveタイプが、現在最も一般的な分析方法と言えます。
しかし、近い将来、ビッグデータと人工知能の台頭によって、顧客の行動、コンバージョン率、トラフィックなどに関する過去のデータを保持する小売業者は、PredictiveタイプとPrescriptiveタイプの分析から大きな恩恵を受けることになるでしょう。
店舗パフォーマンスに関するデータの収集・活用を躊躇する企業は、今後、技術を駆使した効率的経営をする競合企業に遅れを取ってしまう可能性もあります。
反対に、これらの分析技術をいちはやく取り入れることで、他社との競争からあなたのビジネスを一歩前に飛躍させることが大いに可能となるのです。
パイロット・プロジェクト(ソリューション試験運用)をお考えの方に
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